新たに設置された本学海洋資源科学科では,海洋生物生産学,海底資源環境学,海洋生命科学のいずれのコースにおいても,“海洋資源”および“海洋環境”をキーワードとした分野横断的な教育を実施することで,海を「知り,使い,そして護る」ために,生物・非生物を含めた「海洋資源」を様々な側面から多面的に扱えられる人材育成を行ないます。このため,海洋資源とそれを取り巻く海洋環境を適切に維持・管理していくための基礎的な知識や海洋法規・経済,あるいは合意形成に関する専門的知識を有する国際的な“総合的海洋管理”の視野を持った学生の教育を実施します。

四国の5国立大学では,四国地方が南に太平洋,北には瀬戸内海と,四方を海に囲まれ,古くから海の恵みを自然資源・文化・社会等の様々な面で数多く享受するとともに,それらをうまく管理・利用してきたことを題材に,海洋に関するそれぞれ特色ある教育研究が実施されてきました。そこでこれらの大学が協力して,各大学で実施されているカリキュラムを統合的・補完的に運用し,かつ各大学の特色をうまく組み込むことで,5大学のスケールメリットを活かした,先駆的かつ画期的な総合的海洋管理 (ICOM: Integrated Coastal and Ocean Management) 教育プログラムを実施します。海洋資源科学科では,他の4大学に先駆けてこのICOM教育プログラムをカリキュラムの中に組み込み,いずれのコースに所属する学生であっても総合的海洋管理教育を受けることになっています。

ICOM教育プログラムは,下図のように必修科目群(コアカリキュラム)と選択必修科目群に分かれ,それぞれ6科目12単位ずつ,合計12科目24単位の履修を必須としています。コアカリキュラムは全ての学生にとって共通の必修科目です。このうち1年次の第1学期に履修する「海洋科学概論」は,5大学の教員15人がそれぞれ1回ずつ担当し,総合的海洋管理のために最低限知っておかなければならない,海洋に関する生物学・化学・地学・物理学・工学・社会科学・水産学等に関する基礎的な知識・情報を学ぶための授業科目です。また,選択必修科目群は,4科目群から最低1科目以上2科目以内,合計6科目を選択して履修します。これらICOM教育プログラムの授業科目は,基本的にはe-learningで実施される予定です。ICOM教育プログラムを履修した学生には,高知大学長名による修了認定証が授与されることになっています。