研究室の紹介

(研究テーマは変わることもあります。更新:2020/03/27)


節足動物の生態学

伊藤 桂 准教授 教員情報

植物の葉の汁を吸って発育するハダニは、農作物の害虫として悪名高いものです。しかし、野外には害虫種以外にも様々な種類がいます。 写真はササやタケに巣網を張りその中で生活するハダニです。増殖力は低いのですが、糸で巣を作ってその中で生活することにより、捕食者の侵入を妨げることが知られています。また、巣の中でもさまざまな争いがあり、1頭のメスをめぐって多くのオスが争うことが知られています。我々の研究室では、ハダニの防衛行動や闘争行動がどのようにして進化してきたかについて、様々な手段を用いて解明しています。

 ハダニは形態的な特徴が少ないため、分類が難しい生物でした。しかし我々のDNA解析により、ハダニが日本国内で多数の種分化をとげ、近縁種どうしが近い場所に住んでいることがわかりました。しかし、これらの系統が分岐したか、また、なぜ互いに交雑しないのかは謎のままです。これらの異なる系統が同じ場所にいるときに繁殖行動がどう変化するのかという問題について、学生とともに調べています。

研究内容:植物ダニ類およびそれらの捕食者の行動生態学および進化生態学

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農業気象学

森 牧人 准教授 教員情報

 近年、自然環境や農業環境への関心が高まりつつあります。この背景として、生態系の保全や維持、さらに環境への負荷軽減に対する意識の高まりがその背景となっています。我々の研究テーマはさまざまですが、環境を定量的かつ客観的に測定・評価するような基礎的な内容が多く含まれています。しかしながら、最終的には中山間地の気象の利用法、地球温暖化を視野に入れた先行的な環境対策の立案、環境負荷を最小限に抑えた施設作物の生産技術の確立、および新しい環境指標を導入した地上付近の水蒸気環境の評価とその応用など、基礎的な成果が多方面の応用に生かされることを期待しています。

研究内容

1)広域大気モデルを用いた四国域の局地気象シミュレーション

2)地球温暖化が地域気象に及ぼす影響評価とその将来予測

3)農業施設内の新しい環境指標に関する研究

4)農作物の高品質化・高収益性を実現するための地域気象資源の利用

5)GIS/GPS支援型広域水循環モデルの開発と四国域の水環境評価

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化学生態学、植物生理学

手林 慎一 准教授 教員情報

 植物が捕食者や病気から身を守るために持っている化学物質は、それをそのままあるいは若干改変することにより、殺虫剤や殺菌剤として利用することが出来ます。その利用範囲は農薬だけでなく、医薬品や化粧品、食品添加物などにも応用することが出来ます。我々の研究グループでウドから見いだされたジテルペンは、天然由来の防腐剤として化粧品などに利用されています。

研究内容:

・昆虫のフェロモン・アレロケミカルに関する化学的研究 (例:アブラムシの寄主選択にかかる化学生態学的研究、天敵カメムシ類フェロモンの電気生理学的研究、アオスジアゲハの寄主選択機構の化学的解明、ゴール形成昆虫の化学生態学)

・農作物による有用化学物質の生産技術の開発 (例:ピーマンによるルテオリン生産、レタスによるアピゲニン生産)

・農薬・医薬品・健康食品のシーズ発掘 (例:和漢薬に含まれる殺虫物質の探索、昆虫由来の新規生理活性物質の探索、東南アジア原産の薬用植物の成分解析、フラボノイドの医薬品・健康食品への利用技術開発)

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生物多様性管理学

鈴木 紀之 准教授 個人ページ

 私の研究室では、生物多様性が維持されている仕組み、そしてその多様性が環境や生物にどのような影響を与えているのか調べています。ここでいう多様性とは、生態系の中にいる生物の「種類の多さ」だけでなく、それぞれの種類の中に含まれる「遺伝子や個性の多様性」も含まれています。

 具体的には以下のような研究テーマに取り組んでいます。

・よく似た種類どうしがエサや生息場所(ニッチ)を分けながら共存している仕組みの解明。さまざまなエサを食べるジェネラリストと、特定のエサだけを食べるスペシャリストにはどのような違いがあるのか、テントウムシやチョウなどの昆虫を対象に研究を進めています。

・同じ種類であっても、個体ごとに形や行動に「個性」の違いが見られます。個性があると、集団全体として効率よく資源を利用したり、環境の変動にうまく対処できます。こうした個性の多様性がもたらすプラスの効果について、実験やデータベースの解析を組み合わせて調べています。

・陸上の節足動物(昆虫やクモ)を対象に、外来種が生態系の中にどれくらい侵入しているのか網羅的に把握し、群集生態学的な解析を行なっています。特に、DNAバーコーディングで得られたデータを元に、外来種と在来種に見られる遺伝的な特徴の違いを比較しています。

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植物資源機能科学

阪田 光和 講師 教員情報

植物資源、特にイネの遺伝資源の利活用に関する研究を行っています。遺伝資源の評価から、有用な植物遺伝子の機能性評価や遺伝的基盤の解明、さらに有望系統の開発等の応用利用を目指しています。特に、米糠を構成する胚と糊粉層組織について、形態特性や遺伝学的基盤を明らかにすること、米糠の構成比率を改変し、付加価値を高めたイネ系統の開発に取り組んでいます。その他、国内外のフィールドを幅広く研究対象とし、自然環境資源の利用を通じて、世界の食糧問題や地域の課題解決に貢献していきたいと考えています。

研究内容

1)イネの遺伝資源の利用に関する研究

2)イネの胚および糊粉層形態に関する遺伝学的研究

3)多用途利用米の開発と評価

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