高知大学 農林海洋科学部 大学院 総合人間自然科学研究科農学専攻

地域の期待に応える大学院の研究 暖地農学編


暖農と家畜から2 体外受精の受精率向上を目指す

動物アレルギーはあるけれど、あかうしが大好き! 毎日牧場とラボを往復し、受精卵に関する研究に励む。時には先生と一緒に畜産農家や県の会議にも出かけ、視野を広げている。

朝は牛のお世話、
昼はラボで実験の日々

お世話中、なついて寄ってきてくれます!

 高知大学のいいところは、研究室のすぐ隣に牛舎や放牧場があることです。私たち学生は、毎朝つなぎと長靴という格好で牛舎に行き、掃除やエサやりなど牛のお世話をします。土佐あかうしは、雄だと体重700~800㎏ほど。大きいし、最初はびっくりしましたが、性格がおとなしくて人懐っこいので、すぐに慣れることができました。今はどの子も本当にかわいい! 全ての牛に名前がついていますが、さすがに覚えられないので、私は自分で勝手に名前をつけて呼んでいます(笑)。 牛のお世話が終わると研究室に移動し、今度は顕微鏡で大きさ約0.1ミリの卵子をのぞきこみます。実験では無菌操作が必要なので、牛舎から菌を持ち込まないよう気をつけます。正直、受精卵の研究だけなら研究室の中だけで十分できますが、やはり本物の牛と毎日触れ合いながら研究に取り組めるのは、モチベーションや問題意識も全然違います。恵まれた研究環境だと感じています。

体外受精の受精率向上

研究結果は、日本畜産学会で発表!手応えを感じました。(写真は、その際発表したスライドの抜粋)

 私が取り組んでいるテーマは、体外受精の受精率の向上です。まず、受精卵を培養する培地に抗酸化作用のあるビタミンCを添加することで、受精率が上がるかどうかを実験しました。この検討には少なくとも100個以上の卵子が必要でしたが、私たちの研究室は毎週、地域の屠殺場から牛の卵巣を分けていただいているので、それを使うことで十分なデータを得て結果を出すことができました。
 現在は、牛は夏場に繁殖機能が衰えるという点に注目し、夏と同じ状態になるよう再現した卵子を使ってビタミンCを添加した場合の受精率を調べています。今後は、なぜ受精率の向上にビタミンCが影響するのか、そのメカニズムについても解明していきたいと思っています。
 実験結果の応用としては、体外受精においてビタミンCを使用することはもちろん、例えば夏場の餌にビタミンCを混ぜることで雌牛の繁殖能力を上げるといった可能性も考えられます。先生のアドバイスのもと、基礎と応用と両面から、日々研究に取り組んでいます。

屠殺場から運ばれてきた牛の卵巣。
もともと胎内にあるものなので、光に弱く、室内を暗めにして作業。
ぷつぷつした部分に注射針を刺し、採卵。
一つの卵巣の中に、10~20個の卵子がある。
液の底に沈んだ卵子をピペットで取る。
卵子が取れているか、顕微鏡で確認。
卵子に、凍結保存しておいた精子を注入し、対外受精。
受精卵は、牛の体温と同じ38.5度の培養器に入れ、子宮着床前の段階(受精後7日間)まで育成。