高知大学 農林海洋科学部 大学院 総合人間自然科学研究科農学専攻

大学院インタビュー 平成26年度

丸太打説で地盤を強化。
液状化を防ぐ新工法!


総合人間自然科学研究科2年(平成26年度)|徳島県出身|坂部晃子


東日本大震災を経験し、地盤防災を志す

 私の地元・徳島県は、下水道普及率が全国最下位。家の近所の川もあまりきれいではなく、下水道や河川の環境保全に関わる勉強がしたいと思い、高知大学に来ました。
 けれど、私が学部3年生の時に東日本大震災が発生。多くの方が津波や揺れで亡くなられた現実に大きな衝撃を受け、何よりも人の生命を守ることが大切だと考えて地盤防災学研究室に配属を希望しました。

 地盤防災学研究室の原忠先生は、液状化や地盤構造の研究に最前線で取り組んでおられる研究者の一人で、とてもバイタリティにあふれた先生です。そんな先生のもとで最新の技術を学び、構造物や地盤の安全を確保することを通じて人の生命の安全に貢献したいという目標を持って、修士まで研究を続けてきました。

東日本大震災の被災地調査

東日本大震災の被災地調査(九州大学と合同で実施)


液状化防止と温室効果ガス削減、林業再生に同時に貢献

 私が研究しているテーマは、地震による液状化を未然に防ぐ新工法「丸太打設液状化対策&カーボンストック工法」です。これは、埋立地のような液状化しやすい砂地に間伐材などの丸太を打ち込むことで、地盤を締め固め強固にする工法です。液状化を未然に防ぐだけでなく、丸太を土中に埋めることで地中に炭素を貯蔵する、つまり温室効果ガスの削減につながるほか、直径14cm以上あれば曲がった木でも使用できるので、未利用森林資源の有効活用にも貢献できます。

丸太打設液状化対策&カーボンストック工法

丸太打設液状化対策&カーボンストック工法

三軸試験

三軸試験

浦安市での木材打設実証実験

浦安市での木材打設実証実験

 この研究は、飛島建設株式会社、兼松日産農林株式会社、昭和マテリアル株式会社との共同研究で行われているもので、私は学部4年生の時から埼玉県浦安市での実証実験に参加させていただきました。修士になった現在は、現地の地盤調査と並行して、大学の実験室にある三軸試験機で採取してきた試料を用いて丸太の打設前後の地盤強度を求め、解析を行っています。
実験で苦労したのは、少ない試料で結果を出さねばならなかったことです。現場での試料採取はボーリングによって行うため、非常にコストがかかり本数が限られていました。

 また、現場での作業統括はゼネコンの方、作業は作業員の方、データのとりまとめは私たち高知大学という分担の中で、ゼネコンの方と改善点を検討していく工程はとても専門性が高く大変でした。最初は分からないことだらけだったのですが、ゼネコンの方から液状化の判定や地盤強度の評価の仕方などについてアドバイスをいただきながら、何とかやり遂げることができました。

浦安市での地盤調査

浦安市での地盤調査


共同研究の中で学んだ、努力することの大切さ

 もともとそれほど積極的なタイプではなかった私にとって、この共同研究に参加させていただいたことは、専門的な技術や知識を身に付けるだけでなく自分自身を見つめ直すいい機会になりました。正直に言うと最初はプレッシャーの方が大きく、企業の方にメール一本するのも怖くて緊張したし、現場に入るのはさらに気が重く億劫でした。しかし、私の取り柄は地道な努力。まじめにコツコツやりぬこうと、それだけは強く決心して取り組みました。やってみると、そこを企業の方がきちんと見てくれていて評価くださり、努力することや地道な積み重ねの大切さをあらためて教えられました。結果につながることの達成感や喜びが私を成長させてくれたと思います。

九州大学との合同ゼミ

九州大学との合同ゼミ

 そして、たくさんの人と出会う機会に恵まれ、つながりが増えたことは私の大きな財産となりました。共同研究先の企業の方、被災地調査や合同ゼミを一緒に行った他大学の研究室の仲間、高知の行政の方や地域のみなさん・・・。高知大学に来てここで学べて本当によかったと感じています。


人の生命と社会の安全を守っていきたい

平成26年度地盤工学会

平成26年度地盤工学会にて(左から2人目が坂部さん、3人目が原先生)

 就職活動を経て、4月から私は建設コンサルタントの企業で新たな一歩を踏み出します。どこで勤務することになるかはまだ分かりませんが、自分が研究してきた地盤や防災に関わる知識を活かし技術を高めて、人の安全を守る社会基盤を作ることに貢献したいと思っています。そしていつか、ふるさとの徳島に戻り、地元の環境保全や豊かな暮らしの役に立てたらと思っています。