高知大学 農林海洋科学部 大学院 総合人間自然科学研究科農学専攻

大学院インタビュー 平成27年度

おいしい日本酒、焼酎の開発で
地域産業を活性化


総合人間自然科学研究科2年(平成27年度)|高知県出身|内山貴雄


お酒の研究をするために、私大から高知大学の院に進学

 僕はバイオの分野に興味があり関西圏にある私立大学に入学しましたが、そこで一番やりたかったお酒の研究に携わることができず、やりたい研究をやるために他大学の大学院進学を早い段階から決意していました。
 いろいろ調べた中で一番魅力を感じたのが高知大学です。ちょうど同じ研究室の先輩も先に進学していたので、その先輩に連絡を取って学部3年生の5月、応用微生物学研究室を訪問。先生や先輩方がすごくアットホームな感じで話を聞かせてくださり、"ここで学びたい!"という思いを強くしました。


工業技術センターを拠点に醸造実験

 実際に高知大学に来て学んだこの2年間は、本当に充実した時間となりました。
 お酒の研究には醸造免許が必要で、僕は入学直後からその免許を持っている高知県工業技術センターと大学を往復しながら研究活動に取り組みました。
 朝は大学の研究室でミーティングや英語のセミナーを受け、午後は高知県工業技術センターで実験という日々。多忙でしたが、いろいろな研究者や企業の方と密に関わらせていただきながら、お酒に関する様々な研究に触れることができたことは大きな収穫でした。
 また、時間が無制限にある大学と違い、工業技術センターでは決められた時間の中で実験内容や時間配分を考え実行しなければなりません。最初は大変でしたが、それも社会に出るためのいい訓練になったと思います。


目的は、おいしい日本酒、焼酎をつくること

小仕込み試験の様子

 僕がこの2年間で携わった高知県工業技術センターとの共同研究をご紹介します!

①修論「薬剤耐性を用いた高香気性酵母の育種」

 高知県の日本酒は、他県の日本酒と比べて香高い酵母を使っていることが特徴ですが、今後さらなる製品の多様化・差別化を図る上では、今よりももっと香の高い酵母が必要となってきます。そこで、抗真菌薬を使って高香気性酵母の育種に取り組みました。小仕込み試験の結果、培養した995株の酵母のうち3株が従来の高知県酵母よりも吟醸香が高いことが確認され、実地醸造に使用できる高知県酵母の一つとして登録してもらうことができました。

②ワイン酵母を用いた清酒醸造

 日本酒に使われている酵母は「清酒酵母」、ワインに使われる酵母は「ワイン酵母」と呼ばれており、ワイン酵母は清酒酵母に比べアルコール耐性や発酵力が弱いのが特徴です。僕は日本酒の多様化を目指し、ワイン酵母の発酵力を改善して日本酒を作れないか実験を行いました。結果、発酵助剤のビタミンB1を添加することでワイン酵母の発酵力の改善効果が得られることが分かりました。

③新たな酒米の酒造適正評価

 日本酒のもととなる酒米は食用米と比べると心白率が多いため、食べると食味は落ちるもののお酒にすると味が澄み、いわゆる「淡麗」の味を引き出します。現在、高知県では県外から高品質な酒米を購入してお酒造りをしていますが、せっかく高知県酵母を使って独自性を出しているのだから酒米も高知県産のものを使いたいというニーズに応えて、高知県農業技術センターと共同で県内産酒米の醸造実験に取り組みました。


④地域特性を有する焼酎の開発

 焼酎の原料としては、芋や麦などが有名ですが、高知県の新たな地場産品の開発を目標に、嶺北地域特産の硬粒種トウモロコシ(キビ)を使った焼酎の開発に挑戦しました。第一に「果たしてキビで焼酎ができるのか」、第二に「大量生産を行うためにアルコール収得量をいかに向上するか」という2点を目標に小仕込み試験を行い、よい結果を得ることができました。その後、実際に県内の酒造メーカーからキビ焼酎が製品化!自分たちの行った研究が一次産業活性化につながっていく過程を目の当たりにすることができ、大変うれしかったですね。


2種類の地キビを仕込み試験

鹿焼酎ができることを確認した

アルコール収得量を上げる方法も検討

有効な前処理方法を確認した

お酒づくりで、地域に貢献したい

 4月から僕は高知県内の酒造メーカーに勤めます。やりたかった研究をやりきり、希望の職業に就くことができたのは大学院のおかげ。
 これからも自分が興味を持ったことや、やるべきことに愚直に取り組み、結果につなげていけたらと思っています。