高知大学 農林海洋科学部 大学院 総合人間自然科学研究科農学専攻

時代を先取る大学院での学び 山と川のフィールド編


川のフィールドから3 共同研究先の企業で働く 全国にこの新技術を広めたい!

二点DO制御OD法の開発に卒業論文・修士論文として携わり、在学中には日本下水道協会「第48回下水道研究発表会口頭発表セッション」において優秀発表賞を受賞した田中さん。現在は、同研究の共同研究先であった前澤工業株式会社で、最新の水処理技術の普及・販売の仕事に携わっています。
 上下水道、水資源、農業用水などにおける社会資本整備や、土壌地下水浄化事業、産業廃水浄化設備など水と生活を取持つ事業を行う「水と環境問題」の専門企業。
 高知大学とはこれまで、「二点溶存酸素(DO)制御OD法」をはじめとする複数の大規模な先端研究を共同で実施してきています。

現場にどっぷり浸かって学んだ
研究室時代


学部生時代、初めて建設中の野市浄化
センターを見学

 高校まではさほど真剣に勉強してこなかった自分が、初めて目的意識を持って学問に取り組むようになったのは、藤原先生の水質学の授業がきっかけです。ふだん何気なく見ていた下水処理場でこんなにも効率的な考え方のもと下水処理が行われているのだと知り、それを実際に自分の目で見て体験し、研究してみたいと思ったからでした。
 水環境工学研究室に配属され、4回生でまず野市浄化センターでのベンチスケール実験に参加しました。大変だったのは、やはり装置のトラブルです。一度、水路のポンプが詰まって返送汚泥が流れなくなり汚泥がない状態で運転していたことがありましたが、その時、当時博士課程の先輩だった陳さんと一緒に原因を一つずつ探っていき、最後にここだ!と発見した時のうれしさは今でも忘れられません。問題にぶつかった時に大きなところから徐々に的を絞っていって原因を突き詰めていくという方法は、社会人となった今もとても役に立っていて、私の大切な財産の一つになっています。
 大学院に進学を決めたのは、ベンチスケール実験の後に実証実験が控えていることを知り、他では絶対にできない貴重なチャンスだと思ったからです。
 実証実験の1年間は、雨の日も台風の日も休みの日も毎日欠かさず現場に通いました。生物を扱っている実験なので、一日でもメンテナンスを怠って微生物が死んでしまったり流されたりしてしまっては大変だし、現場は本物の処理場で、もし失敗などすれば地域の方々の生活に迷惑がかかってしまいます。共同研究先の前澤工業の技術者の方に教えていただきながらオペレーションのお手伝いやサンプルの採取、分析などを行いました。


修士時代は、現場と研究室を往復し、研究に没頭!

現場での経験が、
自分の道を見つけるきっかけに

 現場での実験の日々は、必要な技術や知識の習得はもちろんのこと、多くの人と関わることで私にいろいろな刺激を与えてくれました。特に前澤工業の方から下水だけでなく浄水も含めた様々な水処理技術や製品について話を聞かせていただいたことは、自分の将来をより具体的に考えるきっかけとなりました。
 なので、前澤工業を第一志望として水処理関連の企業に就職活動を始めたのは、私の中ではとても自然な流れでした。内定をいただいた時はとてもうれしく、すぐに藤原先生に連絡しました。
 現在、私は前澤工業大阪支社で営業の業務に携わっています。お客様の多くは地方自治体。委託業務として下水処理場や上水場などの行政計画に添って最適な技術や設備を提案したり、機器の更新時に製品を提案・販売したりするのが私の主な仕事です。

職場の様子

目標は、二点DO制御OD法の
世界進出?!

 日頃、自治体の担当者の方とお話をしていて一番感じるのは、やはりどこの自治体もコストやエネルギーの削減に頭を悩ませているということです。私は、担当地域でOD法の更新がある時は必ず二点DO制御OD法のカタログを持参し、技術紹介をさせていただいています。いつかこの技術を導入して運転が開始した下水処理場に藤原先生をお招きするのが私の目標の一つ。さらには海外に赴任し、世界に二点DO制御OD法を広げたいという野望(?)も抱いています。

 田中くんが導入に関わった二点DO制御OD法の下水処理場 ― それが実現したら教員として、そして研究者として、こんな幸せなことはことはありません! 彼ならきっとやってくれるんじゃないかと思っています。
 彼のように、卒業生が水処理の分野で活躍してくれているのは大変うれしいことです。
 実は、私たちの研究室では、卒業後も学会活動などを通じてつながっているOBが多く、毎年、日本水環境学会に参加する時には、OBが集まっての飲み会が開かれます。そんな温かいつながりも、高知大学の大きな特徴ではないでしょうか。

研究室時代、夜遅くまで実験がある日はいつも、藤原先生が全員分(!!)のお弁当を買って、様子をのぞきにきてくれました。お弁当を囲み、先生やみんなといろんな話をしたことは、いい思い出です。