高知大学 農林海洋科学部 大学院 総合人間自然科学研究科農学専攻

時代を先取る大学院での学び 山と川のフィールド編


山のフィールドから3 林業行政を志す 山と人の暮らしに貢献したい

環境や山への興味から森林科学の分野を専攻し、専門性をもっと高めたいと大学院に進学。修士1年の時、森林利用学会第20回学術研究発表会において学生優秀論文発表賞を受賞。また、本学の研究顕彰制度で大学院生研究奨励賞に選ばれるなど、広く活躍している。大学院修了後は、広島県庁(林業技術職)にて、林業行政に携わる予定。

国や自治体において、森林計画の策定、治山・林道事業の実施、林業技術の普及指導、林業経営、林産振興などの森林保全・活用に携わる仕事です。 近年は森林資源の活用や災害防止など、様々な角度から森林の大切さが見直されており、その重要度も増しています。

薪の生産性を検証し、中山間地域をバックアップ

 僕はもともとバイオマスや森に興味があり、林道や林業機械について学びたいと思って林業工学研究室に来ました。現在は、自分の卒業論文研究と並行して、鈴木先生の薪の生産性を調べる実験に携わらせていただいています。
 昨年実施したのは薪割りの実験です。電動薪割り機を使って何人で何時間くらいやるとどのくらいの薪ができるかを検証し、基本データとしてまとめるというものです。機械の損料を割り出して作業経費をより正確に把握したり、薪割りの様子をビデオで詳細に撮影し、そこから作業時間の短縮方法を探ったりと、あらゆる角度から検証を行っていきました。


薪割りの検証実験に参加した仲間と

 地道な作業ですが、これには「現場で動いているしくみの有効性を裏付ける」という大きな意味があります。そこが明らかにされれば、例えばもう少しここをこういうふうに改善すればコスト削減につながるとか、現状ではうまくいっているが数年後にはこういう改善をしないと持続が難しくなるといったアドバイスも可能になります。この実験の結果が地域における薪利用の拡大をバックアップし、地域の元気につながることを願っています。

 高知の山は急峻で木材を運搬する道路が作れないところも多く、昔から1kmほどの架線を張って集材を行ってきました。この部分のコストを削除することも、木質バイオマスの利用拡大を進めていく上では大変重要です。そこで私たちは、薪の生産性について検証実験を行う一方で、小規模林家の方が簡単に導入できる架線技術についても研究を行い、林業全体、地域全体が元気になる方法を提案しています。

自然と現場に恵まれた高知で学んだこと

 高知県は山、川、海など多彩な自然に恵まれており、特に僕たち農学を学ぶ学生は、研究以外でも様々な活動や趣味のためにフィールドに出ていっています。
例えば、森林での実体験からいろいろなことを学ぶ「林業塾」という活動をやっている人、シカの食害から森を守る活動に賛同して活動に参加している人、釣りが好きで研究以外の時間は釣りに捧げている人など、「森林」や「自然」をキーワードに多くの学生が自分の世界を広げています。


林業塾 ツリーハウスづくりの様子

鹿の食害防止ネットを張る調査グループ。
農学部を退職した教員が中心となり活動している。

 かくいう僕は、サイクリングが趣味。これまでも高知のいろいろな場所を自転車で走って見てきました。自転車から見える風景は、日常の何気ないワンシーンや小さな四季の変化など、車では見逃してしまうような景色です。気になったら立ち止まって眺め、気持ちをリフレッシュさせる。そういう時間も、僕にとっては大事な経験になりました。


人、山の暮らしに役立ちたい

 鈴木先生の研究や自分の卒業論文研究で山や地域に入らせていただきながら、また、自由な時間を地域の自然や人に囲まれて過ごしながら、僕が一貫して抱いていたのは、「人の暮らし、山の暮らしに役立ちたい」という想いです。それを実現するために公務員を目指し、来春からは地元・広島県庁で念願の林業行政に携わることになりました。
 高知で学んだ林業工学の技術・知識と地域への想い。初心を忘れず、今後も人と山の未来を考えていきたいと思っています。

研究のため、1ヶ月のうち1週間くらいは山に入っているという渡辺さん。スパイクつきの地下足袋が必需品なのだとか!