高知大学 農林海洋科学部 大学院 総合人間自然科学研究科農学専攻

ものべキャンパスのお話

学部卒論研究

木炭活用で河川のCOD変化を観察

中尾圭吾さん

  生まれ育った兵庫県伊丹市では小中学校のときから環境に関する授業があり、とくに高校に入ってからは森林に関連した研究に興味を持っていました。
 高知大学の森林科学コースに入学した当初は植林などに関心がありましたが、卒業論文では、木炭を主対象にしました。木炭に興味を持ったきっかけは、林産製造学という授業です。木酢液などいくつか木材の利用例が挙げられましたが、木炭は汚水処理や脱臭などさまざまな高機能を有する素材だと改めて気付きました。その教授の木材化学研究室に入って、木炭のなかでも一番実用性のある排水処理の分野を研究したいと思うようになりました。


実験に必要な大量の木炭を準備。微生物の特定にも悪戦苦闘

実験風景

 実際に卒業論文では、木炭を使って河川水のCOD(汚さ)がどう変化するのか、研究を行いました。
 対象の河川水は、大学近くの工場排水と物部川です。大量に必要となる木炭は、高知大学にある1500℃まで加工できる専用ストーブで作りました。杉、桧、白樺、モミ、竹の5つの樹種を用い、チップに加工します。例えば桧だったら、300℃、400℃、500℃、550℃、700℃と4つのパターンにするなど、炭化温度を変え、多種多様の木炭を用意しました。
 河川水に木炭を沈めて3カ月程度経つと、微生物が付着して汚れを分解、吸収するため、何種類もバケツを用意し、それぞれ3カ月後の排水処理効果を化学反応で調べました。


電子顕微鏡写真

 最終的には、炭化温度が上がるほどCODの浄去率が下がるという実験結果が出ましたが、大切に3カ月世話したもののデータが出ないときもあり、落ち込みました。実際に河川水を汲んでCOD判定の実験を行うことは楽しかったですが、研究途中でぶつかった課題はたくさんあり、教授や友人に相談しながらそれを乗り越え、なんとかカタチにできました。そして、自分の研究で成果が出たということが何より一番うれしかったです。
 COD変化の研究の延長では、微生物についても勉強しました。ただ、微生物は似ているものだけで何万種類もあり、それを英語の分厚い図鑑で調べるため、とても苦労したのを覚えています。


森林演習を通して得た、親友との絆

 大学生活で印象深いのは、2、3年生の時に4、5回経験した、森林演習という授業です。1週間ほど電波が通じない山の宿舎に寝泊まりし、間伐や植林作業など実際の林業を経験しました。この授業を通して多くの友人ができ、その絆が深まりました。
 研究で行きづまったときには、森林演習で仲良くなった友人に助けられました。多くの良い友人ができたこと、そして、森林演習のような興味深い授業を受けられたことが、高知大学農学部に入学して良かったと思える点。そして、ここでしか味わえない経験ができたことは僕の宝になりました。