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高校生の頃から食品について学びたいと思っており、科学的に食品の勉強ができる高知大学農学部の食料科学コースに進学しました。所属しているのは、食料生産プロセス学研究室です。卒業論文は、「米粉パンとパスタの製造プロセスおよび品質に関する工学的評価」をテーマに、おもに米粉パンの製造と品質の評価を行いました。
米粉パンをテーマに選んだのは、高知大学の教授が、収量の多い品種の米を開発したことがきっかけでした。日本では、消費される小麦粉の多くを輸入に頼っているのが現状です。近年、米粉が注目を集めていますが、小麦粉より割高のため、流通量は大幅に増えていません。収量が多い低コストの米粉を使用して美味しいパンを作ることができれば、輸入小麦に代わる米粉の普及に貢献できると思い、この研究に取り組みました。
研究では、2種類の米粉を使用しました。1回の実験に必要なパンは、米粉、水、ドライイーストなどの配合を変えた9種類(9斤)、計18斤のパンです。研究期間中は、測定のために大量のパンを何度も製造しなければなりませんでした。パン製造は、材料の配合だけでも2時間くらいかかります。また、製造過程で失敗した時はやり直しをしなければならず、気力を立て直すことに苦労しました。
製造したパン生地は機械などで測定します。測定項目は、発酵力、膨らみ具合を表す比容積、色、老化(硬化)、味など多岐にわたりました。発酵力測定は、10分おき、2時間1セットを1日3回くらい行います。パンの製造と大量のパン測定が朝から夜遅くまで続き、大変だったことを覚えています。
研究で楽しかったこともたくさんありました。失敗したり余ったりしたパンを、研究室の仲間や他の友人と一緒に食べたことはよい思い出です。また研究室には、どぶろくなどいろいろな食品に取り組んでいるメンバーがいるので、評価のために、お互い試食し合うこともありました。この研究に取り組まなければ話す機会がなかった人とも交流ができ、研究を通じて人脈が広がったと思います。
将来的には、研究に採用した品種が正式に登録されればと願っています。パンをはじめ、米粉を利用した様々な食品の普及が、日本の食料自給率向上につながると思います。
大学生活の一番の思い出は、1年生の時から所属しているよさこいサークル「炎~ほむら~」の活動です。仲間たちとほぼ毎日練習し、よさこい本祭前はインストラクターとして踊りを教えることもありました。また地方車制作のリーダーも経験し、人に何かを教えること、そして大勢をまとめることの難しさを学びました。悩むこともたくさんありましたが、その度に先輩や友人に支えられました。
大学に入学してからは一人暮らしを経験し、両親のありがたさを実感しました。そして、私生活においても勉強においても、自己責任の大切さを改めて感じた4年間でした。とくに研究室に入ってからは、自分で行動しなければ何も始まらないし、何も解決しないということが分かりました。やらなければその程度で終わってしまうけれど、頑張れば頑張っただけのことができる。当たり前のことですが、それを学ぶことができてよかったと思います。これから高知大学で学ぶ後輩の皆さんも、目的意識をしっかり持って勉強に励んでほしいと思います。