免疫難病センターの研究論文が米国癌学会誌『Molecular Cancer Therapeutics』に掲載されました。

2018年6月14日

 医学部附属病院免疫難病センターの仲哲治教授らの研究グループは、大阪大学大学院医学系研究科産婦人科学教室との共同研究により、癌の新規遺伝子治療として開発中のサイトカインシグナル伝達抑制分子(suppressor of cytokine signaling-1; SOCS-1)発現アデノウイルスベクター(AdSOCS-1)が抗腫瘍免疫を高める作用をもつことを発見し、AdSOCS-1の新たなメカニズムとして発表しました。
 本研究は、1997年、仲教授らの研究グループが基礎研究の成果としてSOCS-1を単離したことから始まりました。SOCS-1はJAK/STATシグナル伝達を阻害する分子であり、現在、その作用を利用して革新的な抗癌剤として臨床応用することを目指しています。
 本研究では、卵巣癌患者の腫瘍組織において転写因子STAT1が恒常的に活性化している場合、予後が不良となることを明らかにしました。IFN-刺激によってSTAT1を活性化させた卵巣癌細胞では、下流の遺伝子産物であるprogrammed cell death 1 receptor Ligand1 (PD-L1)の発現が誘導されることが分かりました。PD-L1は免疫チェックポイント分子の1つとして知られており、PD-L1の阻害で抗腫瘍免疫が高まり抗腫瘍効果を発揮することが近年明らかにされています。対照ベクターのAdLacZ処理と比較して、AdSOCS-1で処理された癌細胞ではSOCS-1が高発現し、JAK/STATシグナル伝達経路が阻害されて、PD-L1の発現誘導も阻害されることが明らかになりました。さらに、マウス卵巣癌細胞株(OV2944-HM-1)を同系マウスB6C3F1の皮下に移植して作製した卵巣癌モデルの解析により、本モデルにおけるAdSOCS-1の抗腫瘍効果にはPD1/PD-L1経路の阻害を介した抗腫瘍免疫の強化が重要であることが証明されました。
 これらの研究成果は、平成30年6月11日付、米国癌学会誌『Molecular Cancer Therapeutics』にオンライン掲載されました。


論文名: Intratumoral delivery of an adenoviral vector carrying the SOCS-1 gene enhances T cell-mediated anti-tumor immunity by suppressing PD-L1
論文名: SOCS1遺伝子治療はPD-L1の発現抑制を介して、T細胞による抗腫瘍免疫活性を増強することで抗腫瘍効果を発揮する

HPアドレス
http://mct.aacrjournals.org/content/early/2018/06/09/1535-7163.MCT-17-0822

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