外科学(外科2)講座 穴山貴嗣 准教授らの研究成果が国際学術誌 Scientific Reports に掲載され、国際特許も出願されました。

2018年8月28日

 早期発見・早期治療が、がんの根治的治療に重要です。がんが比較的早期に発見された場合には手術や内視鏡治療による局所切除が最も有効な治療と考えられています。しかし完全に病巣を摘出した場合でも、後にがんを再発するケースがしばしば認められます。現在臨床で使用されているCTやMRI, PET-CTなどの最新の画像診断を駆使しても、直径 5mm以下のがんの転移を正確に発見することは困難とされています。つまり早期がんと診断された患者さんの中には検出困難ながんの微小転移を伴っているケースが含まれていると考えられます。

 さて、健康な人の血液中のアミノ酸濃度は、それぞれ一定に保たれるようにコントロールされていますが、これまでの研究の結果、さまざまな病気になると血液中のアミノ酸濃度のバランスが変化することが分かっています。この性質を応用したのがAICS(アミノインデックス®がんリスクスクリーニング)です。この技術はごく一部の医療機関・検診施設において自費検査として提供されています。少量の血液 (約5ml)からアミノ酸濃度バランスを解析し、複数のがんのリスクを評価します。早期のがんにも対応しており、男性では胃がん、肺がん、大腸がん、膵臓がん、前立腺がんの合計5種のがんに対して、また女性では胃がん、肺がん、大腸がん、膵臓がん、乳がん、子宮がん・卵巣がんの合計6種のがんに対するリスク評価が可能です。

 穴山准教授らは高知大学医学部附属病院と大阪国際医療センター、味の素(株)バイオ・ファイン研究所との共同研究により、事前に臨床試験の参加に同意を得られた手術治療を受けられる肺がんの患者さんを対象に、治療前と治療後に定期的にAICSを測定、長期にわたる追跡調査を行いました。その結果、担がん患者さんの多くが治療前にAICSに異常を呈し、根治手術によって過半数の患者さんでAICSが正常に近い状態に変化することを確認しました。また手術後にAICSが異常値を呈し続ける患者さんは、のちに高率にがんの再発を来すことを確認しました。この研究成果によってAICSは微小ながんの存在を鋭敏に表す指標である可能性が示唆されました。この研究成果は2018年8月17日に、下記の国際学術雑誌に発表されました。

 AICSは、がんの治療効果・再発状況を鋭敏にモニタリングすることのできる新規バイオマーカーとして、今後のがん治療の向上に寄与できる可能性があると考えられ、穴山准教授らは将来の保険医療での応用を目指して、より大規模な臨床試験を計画しています。

Takashi Anayama, Masahiko Higashiyama, Hiroshi Yamamoto, Shinya Kikuchi, Atsuko Ikeda, Jiro Okami, Toshiteru Tokunaga, Kentaro Hirohashi, Ryohei Miyazaki, Kazumasa Orihashi. Post-operative AICS status in completely resected lung cancer patients with pre-operative AICS abnormalities: predictive significance of disease recurrence. Scientific Reports volume 8 : 12378 (2018)
URL: https://www.nature.com/articles/s41598-018-30685-2
国際特許出願済(WO2018/101450)

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