◆インド洋・太平洋に分布する深海性ヒメキチジ属魚類 8新種を命名

2021年11月26日

 高知大学自然科学系理工学部門遠藤広光教授と高知大学大学院の修士修了生2名、近畿大学の研究者からなる研究チームが、初めてインド洋・太平洋域に分布する小型の深海底生性魚類のカサゴ亜目ヒメキチジ科ヒメキチジ属(Plectrogenium Gilbert, 1905)に関する分類学的再検討を行い、研究成果が国際誌「Ichthyological Research」に掲載されました。

 ヒメキチジ属は最大体長が8cm程度の小型のグループで、頭部に大小の棘を多くもち、体全体が赤いことから、同じカサゴ亜目のキチジ科魚類にやや似た形態をしています。また、いずれの種もよく似た特徴をもつことから、これまでインド洋・太平洋の多くの海域からPlectrogenium nanum Gilbert, 1905(1905年にC. H. Gilbert博士が新属新種として記載)として報告されていました。

 この論文では、これまで知られるヒメキチジ属2種を学名の基準となるホロタイプ※1の標本調査を行って再記載しました。また、明確となった2種の特徴を足がかりに、インド洋・太平洋域から得られた本属の多数の標本について形態学的な違いを発見し、日本周辺からの3新種を含めて合計8新種を命名しました。これまでに日本で “P. nanum” ヒメキチジとされた標本は2種に分類され、それぞれ新種P. rubricauda ヒメキチジとP. kamoharai ヨロイヒメキチジ(新標準和名)となりました(P. nanum はハワイ諸島周辺の固有種)。したがって、現時点でヒメキチジ属は10種となり、これまで予想されていなかった本属の種多様性の高さが判明しました。本研究の成果は、深海魚の種多様性や系統進化の解明に大きく貢献することが期待されます。

 ※1 ホロタイプは,学名の基準となる担名タイプ標本のひとつ

 

詳細は以下資料をご覧ください。

 プレスリリース(778KB)

 

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