◆大学院医学専攻4年のSylvia Laiさんらの研究グループの研究成果が、Nature系学術誌「Scientific Reports」に掲載されました。

2022年8月4日

 大学院医学専攻4年のSylvia Laiさんと総合研究センターの樋口琢磨助教及び坂本修士教授らの研究グループの研究成果が、Nature系学術誌「Scientific Reports」に掲載され、令和4年5月25日に電子版が公開されました。

 生体には、タンパク質に翻訳されない非翻訳RNA(タンパク質を生成しないRNA )が多く存在することが分かっていますが、非翻訳RNAの機能に関しては多くの不明な点があります。

 近年、非翻訳RNAが遺伝子の転写制御に関与することが分かってきており、本研究グループではDRBPs※1の1つであるNuclear Factor 90(NF90)とその結合パートナーであるNuclear Factor 45(NF45)(NF90-NF45)について機能解析を行い、NF90-NF45が細胞腫瘍化に関連することや間接的に骨格筋の中心核化を引き起こすこと等を見出していました。

 本研究では、膵臓のランゲルハンス島(膵ラ島)において内在性NF90-NF45の発現率が高いことが判明し、また、糖尿病態の初期に認められるβ細胞の代償性肥大※2にNF90-NF45が必須であることや、その際に細胞増殖抑制経路としてよく知られている「p53シグナル」が関与することも新たに分かりました。

 本研究成果は、糖尿病態の発症においてDRBPsが関与し、非翻訳RNAと遺伝子発現制御が密接に絡んだp53シグナルの調節が糖尿病態の進行に影響する可能性を示唆するもので、今後の糖尿病態発症機序の新知見となることが期待されます。

 

 <論文名> NF90-NF45 is essential for b cell compensation under obesity-inducing metabolic stress through suppression of p53 signaling pathway.

 <和訳> NF90-NF45によるp53シグナル抑制は肥満誘導代謝ストレス下におけるb細胞肥大に必須である。

 

 論文の詳細は、こちらをご覧ください。

 

※1 DNA- and RNA-binding proteinsの略称。一つのタンパク質がDNAとRNAの両方に結合性を示すこと。

※2 対になっている臓器の一方が廃疾となったり手術摘出をうけたりすると、もう一方が機能を代償するために肥大すること。

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