トップページへ 概要 組織 研究成果 教育プログラム

 医学科6年生の大友和則君が筆頭著者である論文、「Serum Uric Acid Level as a Risk Factor for Acute Kidney Injury in Hospitalized Patients: A Retrospective Database Analysis Using the Integrated Medical Information System at Kochi Medical School Hospital」 (和訳:入院患者における急性腎障害(AKI)のリスク因子としての血清尿酸値:高知大学医学部附属病院総合医療情報システムのデータを用いたレトロスペクティブ・スタディ」が、日本腎臓学会の公式英文誌である「Clinical and Experimental Nephrology 」に掲載決定し(2015年8月14日)、電子版が公開されました。学部学生が英文誌の筆頭著者になることは極めて稀なことです。


 この論文は、大友君が医学科2年時から4年時まで履修していた「先端医療学コース」のメディカルデータマイニング研究班で行った研究をまとめたもので、次のような内容です。


 従来より、心臓血管系の手術を受けた患者については、術前の血清尿酸値が低い場合も高い場合も術後のAKI発症のリスクが高くなることが指摘されていましたが、対象とした症例数が少なく、また心臓血管系の手術を受けた患者以外の入院患者についても同様のことが言えるかは不明でした。大友君の研究は、本学医学部附属病院総合医療情報システムに開院以来30年以上蓄積された膨大なデータを用い、全ての入院患者について、従来から指摘されている危険因子に血清尿酸値を加えたロジスティック回帰分析による大規模な多変量解析を行ったものです。


 その結果、心臓血管系の手術を受けた患者以外でも、入院時の血清尿酸値が低い場合、高い場合の双方でAKI発症のリスクが高く、尿酸結晶化が始まる濃度以下でもリスクがあること、男女で基準値領域に対する高尿酸領域の相対的なリスクに違いがある(女性の方がより大きい)ことなど、今まで知られていなかった知見を明らかにしました。


  現在、透析療法に至っている患者数は、全国で31万人を越えています。特に急性腎障害(AKI)は、患者の高齢化などにより発症頻度が高まり、全入院患者の10%、IUC入院患者の30%で発症するといわれていますが、今まで日本人での大規模なデータ解析の報告はありませんでした。また、AKIをおこすリスク因子は不明であり、その解析が待たれていました。このため、この論文の価値は極めて高いと言えます。


 なお、この論文は、メディカルデータマイニング研究班の指導をしている医学情報センターと腎機能再生医療研究班の指導をしている内分泌代謝・腎臓内科(腎膠原病グループ)の共同研究の成果でもあります。


     

 
Copyright(c) Center for Innovative and Translational Medicine All rights reserved
 
[連絡先]〒 783-8505 高知県南国市岡豊町小蓮
高知大学医学部◆先端医療学推進センター TEL: 088-880-2588 FAX: 088-880-2314 MAIL