トップページへ 概要 組織 研究成果 教育プログラム



※開催延期になりました。詳細が決定しましたら改めてお知らせいたします。
講師:Dr. Meera Nanjundan, Ph.D
   Associate Professor
   Dept Cell Biology, Microbiology, Molecular Biology
   University of South Florida, USA
演題:Contribution of Iron to the Pathogenesis of Ovarian Cancers
日時:令和2年3月31日(火) 17:00-18:30
場所:基礎臨床研究棟1階 会議室


 Accumulating evidence now implicates fallopian tube secretory epithelial cells (FTSEC) as precursors to serous high-grade epithelial ovarian cancers (OVCA). Serous tubal intraepithelial carcinomas (STICs), which are associated with p53 signatures and DNA damage, are precursor lesions derived from FTSECs. We propose that additional alterations mediated by chronic stressors such as iron-induced oxidative stress may promote the transition of precursors to high-grade serous OVCA. Specifically, pelvic inflammation or iron overload disease may exacerbate the initial DNA damaging events. A causative relationship between iron exposure and ovarian cancer risk has not yet been explored experimentally and is our current area of investigation. We now show that chronic iron exposure of FTSECs increased their proliferative and migratory indices. Further, we identified that chronic iron exposure altered expression of Ecotropic Viral Integration Site-1 (EVI1, located at 3q26.2, a notable amplified region in serous high-grade OVCA), which upregulated telomerase reverse transcriptase (TERT) expression. Current work focuses on the link between EVI1 and the sphingolipid axis to the pathogenesis of OVCA.
 


講師:東北大学大学院 医学系研究科 細胞組織学分野
   教授 出澤 真理 先生
演題:Muse細胞の発見と医療ルネッサンスへの挑戦
日時:平成31年2月21日(木) 17:00-19:00
場所:大学院棟1階 セミナー室


 Muse細胞は生体内に存在する非腫瘍性の修復多能性幹細胞である。多能性マーカーSSEA-3を指標に同定でき、多様な細胞への分化能力を有する。骨髄から末梢血中に定常的に動員されて各臓器の結合組織に分配され、組織を構成する細胞への自発的な分化によって組織恒常性に関わっていると考えられている。また傷害を受けた臓器から出される警報シグナルsphingosine-1-phosphateに対する受容体を発現するため、血液中を巡っているMuse細胞は傷害部位に集積し、同時多発的に組織を構成する複数の細胞種に分化し、傷害組織を健常組織に置き換えて修復する。しかし内因性のMuse細胞の活性が低下していたり傷害が大きい場合には、外来性のMuse細胞を血液中に投与することで有効な組織修復が可能である。
 Muse細胞は臨床応用に当たって、遺伝子導入による多能性獲得や投与前のサイトカイン等による分化誘導を必要としない。血中投与で傷害部位を認識して集積するので、外科的手術によるアプローチも不要である。さらに胎盤の持つ免疫抑制効果に類似する機能を有するため、HLA適合や免疫抑制剤投与なしにドナー細胞を活用することが可能である。ドナーMuse細胞は半年以上の長期間、ホストの組織に機能的な細胞として生着が維持されることも確認されている。現在、国の承認を受けて三菱ケミカルホールディングス傘下の株)生命科学インスティチュートがドナーMuse細胞の点滴による心筋梗塞、脳梗塞、表皮水泡症への治験を開始している。細胞治療がドナー細胞の点滴によって可能となれば、医療を大きく変えることが可能である。Muse細胞の今後の展望に関して考察してみたい。
 


講師:ペンシルバニア州立大学医学部薬理学・分子生物学生化学 アシスタント プロフェッサー
   ゲノム科学バイオインフォマティクスコア ディレクター
   川沢今村 百可 先生
演題:医学生物学における次世代シーケンサー利用の現状
日時:平成30年7月20日(金) 17:00-18:30
場所:大学院棟1階 セミナー室


次世代シーケンサーを使ったことはありますか?

次世代、と言うからには第一世代もありますね。私が学生の頃は第一世代(サンガー法)を放射能ラベルして被曝しながらゲルで流して血走った目で配列を読んでいました。蛍光が使えるようになり、次にキャピラリー、外注サービスが出て来たのもこの頃です。その後マイクロアレイの登場でゲノムワイドな解析が可能になり、それが次世代シーケンシングに取って代わられようとしている今日この頃(SNPジェノタイピングなど一部のアプリケーションはアレイで継続されると思いますが)。更には第三世代シーケンサーで長いゲノムを一分子から解析できるようになり、ゲノム科学はますます多様化しました。

*セミナーでは、次世代シーケンサーを身近に感じてもらえるよう、インタラクティブに、皆さんの興味を刺激する、次世代シーケンサーの使い方を例示したいと思っています。 ラップトップまたはスマホを持参してご参加ください。
 


講師:京都大学iPS細胞研究所 臨床応用研究部門 教授
   橋 淳 先生
演題:iPS細胞を用いたパーキンソン病治療に向けて
日時:平成30年3月9日(金) 17:00-19:00
場所:大学院棟1階 セミナー室


 iPS細胞は自己複製能と多能性をもち、理論上は必要な臓器の細胞を必要なだけ作ることができる。いよいよiPS細胞を用いた再生医療が現実味を帯びてきており、パーキンソン病はその対象疾患のひとつと考えられている。
 我々は臨床応用に向けて、マウスフィーダー細胞を使わずラミニンフラグメントを用いて大量の神経誘導を行う技術を開発した。また、コリンというfloor plateの特異的表面マーカーを用いて、ドパミン神経前駆細胞のみを選別するセルソーティング技術の開発を行った。これにより、ドパミン神経細胞の純度が高まり不必要な増殖性細胞を取り除くことができ、有効かつ安全なドパミン神経前駆細胞を安定して作製することが可能になった。さらにこの方法で作製したヒトiPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞をカニクイザルのパーキンソン病モデルに移植し、その有効性と安全性を確認した。
 本講演ではこれらのiPS細胞を用いた再生医療開発研究の現状の現状についてパーキンソン病を中心に紹介し、臨床応用に向けた課題や展望について述べる。
 


講師:高知大学次世代医療創造センター 特任教授
   次世代がん研究シーズ戦略的育成プログラム・グループリーダー
   東京大学名誉教授 清木 元治 先生
演題:臨床への還元を目指したがんの基礎研究
日時:平成27年4月13日(月) 16:00-17:00
場所:実習棟3階 第2講義室


 我が国には優れたがん研究があるにもかかわらず、がん治療薬開発では欧米に大きく後れを取っています。その結果として、高価な新薬の輸入増大による国民の医療費負担増が続いています。医薬品の輸入超過を抑制し、国民の医療費負担増を食い止めるには、研究と医薬品開発のギャップを埋めることにより、我が国の創薬力を格段に強化する必要があります。近年、大学等の公的研究機関の研究力を我が国の創薬に生かそうというアカデミア創薬が注目を集めているのはこういった事情によると考えられます。このような時期、文部科学省のプログラムとして「次世代がん研究シーズ戦略的育成プログラム」(P-DIRECT. Project for Development of Innovative Research on Cancer Therapeutics)が平成23年度より始まり、アカデミア創薬の一翼を担うこととなりました。さらに本プログラムは平成27年度より、新たにスタートする日本医療研究開発機構(Japan Agency for Medical Research and Development:AMED、日本版NIH)に統合され、厚生労働省で推進される革新的がん医療実用化研究事業と一体となり、ジャパン・キャンサーリサーチ・プロジェクトとして推進されることとなりました。
 本講演では、上記の国家プロジェクトの推進により得られた経験に基づき、医学部・大学院教育により基礎的な学力を習得し、これから医師・研究者としての活動を開始しようとする皆さんに、独創的な研究を展開する際にも、臨床応用を見据えて自分の研究を位置付けることの重要性についてお話ししたいと思います。
 


講師:群馬大学大学院医学系研究科生化学 講師
   小西 昭充 先生
演題:染色体末端保護のしくみ -テロメア機能制御技術の開発と展開について-
日時:平成27年2月16日(月) 17:00-19:00
場所:講義棟 第7講義室


我々の遺伝情報は染色体DNAに保存されおり、遺伝情報の正確な伝達と正常な生命活動の継続のためには染色体恒常性の維持が非常に重要です。真核生物の染色体は線状でありDNA末端が存在し、この染色体末端部は細胞内に備わっているDNA分解・修復機構の標的となり、染色体の不安定化が惹起される危険性を持っています。これを防ぐための巧妙な仕組みが、染色体の末端に存在するテロメアと呼ばれる特殊な構造です。テロメアは、特徴的な反復配列を持つテロメアDNAと蛋白複合体(shelterin)によって構成されています。テロメアの短縮などによりテロメア機能が減弱すると、染色体末端がDNA断裂部位として誤認され、DNA損傷チェックポイントの活性化が起こる結果、細胞老化や細胞死が誘導されます。近年のノックアウトマウスを中心とした研究によってshelterinによる染色体末端の保護機構の詳細が明らかとなってきましたが、我々はshelterin複合体のなかでもテロメアの保護機構に中心的な役割を果たしているテロメアDNA結合分子TRF2に着目し、温度依存的にテロメアDNAへの結合能が変化する温度感受性TRF2変異体を創出しました。この変異体を用いることによって、迅速でかつ可逆的にテロメア機能を制御することが可能となり、テロメアによる染色体末端保護の仕組みについての詳細な解析が可能となりました。現在、このシステムを発展させて、一般的なDNA損傷反応に関するシグナル経路解析への展開を行っています。今回は、現在までに明らかとなった知見を交えて、テロメアによる染色体末端の保護機能、および機能不全テロメアをツールとして利用したDNA損傷研究への新しいアプローチ法について述べたい。 
 


講師:順天堂大学大学院医学研究科環境医学研究所・医療看護研究科
   感染制御看護学分野 教授
   岩渕 和久 先生
演題:糖脂質に富む膜マイクロドメインの構造と機能について
日時:平成26年10月27日(月) 17:00-19:00
場所:大学院棟1階セミナー室


 スフィンゴ糖脂質(GSL)は、細胞膜上で互いにcis相互作用することで会合する性質があり、脂質マイクロドメイン(脂質ラフトとも呼ばれる)を細胞膜上に形成する。また、飽和なアルキル鎖で構成されているグリセロ糖脂質やGPIアンカー型タンパク質も脂質構造の特徴から脂質マイクロドメインを細胞膜上に形成する。これらの脂質マイクロドメインは、Src family kinaseのような膜に会合する細胞内情報伝達分子や、成長因子受容体・インテグリン分子等がドメインに離合集散することで、生物機能の発現や調節に関与することが示唆されている。しかしながら、これらの脂質マイクロドメインを介した細胞機能の発現・調節機構の詳細は未だに不明な点が多い。ヒト好中球の細胞膜上にはSrc family kinaseであるLynと会合したラクトシルセラミド(LacCer)の膜マイクロドメインがあり、好中球の遊走・貪食・活性酸素産生を仲介する。この情報伝達には、炭素数24(C24)の極長鎖脂肪酸鎖をもつC24-LacCerがLynと会合することが必須となっている。一方で、グリセロ糖脂質であるホスファチジルグルコシド(PtdGlc)も好中球に特異的に発現し、LacCerとは異なる膜マイクロドメインを細胞膜上に形成し、Fas分子と会合することで好中球にアポトーシスを誘導する。これらのことは、細胞には糖鎖と脂質のプログラムされた発現制御機構が存在し、糖鎖や脂肪酸鎖の構造の違いに基づいた異なる機能ドメインが同一の細胞膜上に形成されていることを示している。
 このセミナーでは、糖脂質の性質の違いが膜マイクロドメインの構造と機能にどのように関わっているかについてこれまでに明らかとなっていることについて紹介したい。
 


講師:情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所系統生物研究センター
   教授 城石 俊彦 先生
演題:遺伝子発現量変異とマウス表現型多様性
日時:平成26年8月8日(金) 18:00-19:30
場所:基礎・臨床研究棟 1階 会議室


 遺伝学は、生物の表現型と遺伝子型を結びつけて遺伝子機能を明らかにする方法論として生命科学の基礎を築いてきた。全ゲノム解読により、詳細なゲノム配列情報が得られた後は、モデル生物を対象とした遺伝子破壊によって全ての遺伝子の機能を網羅的に解明しようというプロジェクトが立ちあがっている。一方、ヒト集団を対象とした Whole Genome Association Study (GWAS)や動物モデルを用いた遺伝解析により、疾患や体質など遺伝的個性を決定している因子としては、飜訳配列上のゲノム多型を原因とするタンパク質構造変異より、遺伝子発現制御系の変異が原因であることが多いと報告されはじめている。したがって、表現型と遺伝子発現量を体系的に結びつけるための方法論が必要になってきた。我々のグループは、この問題を動物モデルであるマウスを使って解決しようと研究を進めている。そのために、100万年という分岐時間を持つ二つのマウス亜種の間のゲノム多型を基盤として、両亜種間に検出される一塩基多型(SNP)を指標として次世代シーケンサを利用して対立遺伝子(アレル)を区別して遺伝子発現の系統差を正確に計測する実験系を構築している。このセミナーでは、まず、日本産亜種マウス由来の系統(MSMおよびJF1)の全ゲノム解読と、2002年に報告された西ヨーロッパ産亜種マウス由来のC57BL/6系統のゲノム配列を対照とした比較解析により明らかになったゲノム多型について概括し、次に、その多型を利用してアレル発現量を正確に計測する方法論を提示する。最後に、この解析によって明らかとなった興味深い遺伝子発現量変異の例を紹介する。
 


講師:英国エジンバラ大学
   鮫島 久美子 先生
演題:遺伝子操作法の開発と分裂期染色体の構造解析への応用
日時:平成25年 7月22日(月) 17:00-18:30
場所:大学院棟1階セミナー室


 人体では毎秒2,500万個もの細胞が分裂により誕生する。細胞分裂により生じる二つの娘細胞に、遺伝情報が正確に分配されない場合、娘細胞の異常や細胞死、ひいては癌化を招くことが知られている。我々は脊椎動物細胞株(人HeLa細胞、ニワトリDT40細胞)をモデルとして、細胞分裂の仕組みを解析している。具体的には、i)標的蛋白質を迅速に欠如させる新システムの開発、ii)その応用による細胞分裂時の染色体高次構造形成の機構の解明、をテーマとしている。
 標的蛋白質の機能解析では、その蛋白質を欠如させ、その際におこる変化を観察するのが一般的な方法である。哺乳動物では、RNAi法(mRNAを分解することで標的蛋白質の発現を阻害する)が、その簡便さから最も一般的である。しかしこの方法では生化学的解析に必要な量の細胞(107-108)を得ることは難しく、標的蛋白質が細胞内からいなくなるまでに通常48時間ほど必要となる。この問題に対し、我々は ニワトリDT40細胞の新しいコンディショナルノックアウト手法であるプロモーターハイジャック法を開発し、キネシンファミリー4(KIF4)のノックアウト(KO)細胞を作製した。このKIF4KO細胞を用いて、細胞分裂期の染色体の高次構造の形成に関わる機構を解析した結果を報告する。加えて、短時間での標的蛋白質の量の変化を可能にしたオーキシンデグロン法を応用した手法についても議論する。これらの手法は、ニワトリ細胞のみならず、マウスをはじめとする生体への応用も可能である。

参考文献:
1. Samejima K, et al. J. Cell Biol. 2012;199(5):755-70.
2. Samejima K, et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 2008;105(7):2457-62


講師:高知大学医学部附属先端医療学推進センター 特任教授
   横浜市立大学大学院医学研究科 客員教授
   城武 昇一 先生
演題:細胞に親しい高分子構造体を創って様相を診ると・・・
日時:平成25年 5月15日(水) 17:00-18:30
場所:大学院棟1階セミナー室


 細胞と親しい人工構造体のモノづくりを通して、細胞の生活環境と代謝制御の仕組みの大切さ、 人間の安心安全と生活環境、自然と人間生活との整備、それらに相応しいイノベーションを高い信頼性が要求さ れる新産業に適用、また、超微小な技術が大きなイノベーションへと連なって農学・工学・医学・薬学などの専門技術・ 農工医薬連携が人間を始め生物に優しい社会環境へ対応していることについて紹介し、最後に、高知大学の若い研 究者や学生諸君へのメッセージにて、モノづくりへの思いを伝えたい。

 本研究の起源は、がん化学療法に執念を燃やした若い血潮が「耐性化と副作用の狭間」の治療限界に突き当たり、 患者と共に深く悩み長く苦しみ、医学研究に人生を奉げた自分の夢を儚み過ごしていた時に、ふと生まれた「細胞と 親しい仲間創り」の奇想天外な発想であった。

 高知大学と、現在、「予防農法の確立」に向け探索を進め、今後、構造体基盤の強化、食物アレルギーの予防と治療、 難治性感染症予防対策、がん転移予防医学に、夢ある研究者との幅広い連携をもとに、世界を変える「いごっそう」仲間 を募りたい。


講師:高知大学医学部附属先端医療学推進センター
   特任助教(テニュア・トラック教員)
   太田 信哉 先生
演題:プロテオミクスを用いた分裂期染色体構造の解析
日時:平成24年 6月13日(水) 17:00-18:30
場所:大学院棟1階セミナー室


My studies presently aim to answer : What are the structural proteins of the mitotic chromosome and how do they direct chromosome segregation in mitosis? Currently, we have identified ~4,000 polypeptides in highly purified chicken mitotic chromosomes by using a mass-spectrometry based proteomic analysis. This seminar is going to focus on a novel approach that we term Multi-Classifier Combinatorial Proteomics, to sort through this massive proteomic data set and integrate multiple classifiers by machine learning uncovered functional relationships between protein complexes in the context of intact chromosomes.

このたび、高知大学医学部最初のテニュア・トラック教員として、先端医療学推進センターに太田信哉先生が着任いたしました。 太田先生のこれまでの研究業績と今後の抱負について紹介していただきます。

 
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