河野 崇

徳島大学から移籍という形で、平成22年4月に高知大学の麻酔科に入局することになりました。ただ、私は高知大学 (当時は高知医科大学)の出身(平成10年卒)ですので、赴任した時は、新天地に来たというよりはむしろ懐かしいという感じでいました。実際、大学内には同窓生もたくさんいますし、大学内の様子も当時とあまり変わってないように思います。一番驚いたのは、大学敷地内にローソンとスターバックスが出店している点でした。

高知大学を卒業してからの経歴は、2年間高松赤十字病院麻酔科で勤務、その後徳島大学麻酔科の大学院に入学、そこから徳島大学・大下教授のご指導のもと、研究と臨床という大学スタイルでの勤務になりました。私の主たる研究分野は、“電気生理学、特にカリウムイオンチャネルについて”であり、生体内の種々の組織のイオンチャネルの病態生理的役割とその麻酔条件下での影響について研究してまいりました。日々の多忙な臨床生活の合間を縫って細々と研究をしている中、一度先進的研究室があるアメリカで研究にどっぷりとつかってみたいと考えるようになり、途中2年間、米国ウイスコンシン医科大学で研究留学し、平成21年9月に帰国しました。留学中にPIから与えられた研究テーマは”痛覚過敏の行動学的・電気生理学的検討”で、モデル動物を用いた疼痛研究でした。当初は心筋の電気生理を希望していたため、戸惑いながら研究を始めましたが、研究が進むにつれてこの分野の重要性やおもしろさを認識するようになりました。

高知大学赴任後は、横山教授をはじめ医局員の先生方に温かく迎えて頂き本当に感謝しています。そのおかげで、スムーズに大学での臨床にも慣れることが出来ました。また、研修医の指導にも携わり、自分の後輩たちを指導することの喜びを感じるとともに、自分自身も研修医から刺激を受けています。研究室も少しずつですが形になりつつあります。今後はいろいろな教室と連携しながら、高知から世界に向けて情報を発信していきたいと考えています。

今後たくさんの若い先生方が麻酔科に入局すると思います。このような先生方が臨床や研究で迷うことがないよう、できる限り長く手術室や研究室にいて、それを望む人がいる限り自分が今までに学んだ経験や知識を伝えたいと思います。これから高知大学麻酔科の発展のために、微力でありますが尽くしたいと考えています。同門の先生方にはご迷惑をかけることがあるとは思いますが、ご指導のほどよろしくお願いします。

河野 崇写真:留学先(ウイスコンシン医科大学)での送別会。 左からポスドクとしてともに研究したDr. Vicky、本人、PIのDr. Costas。まじめに研究したということでDepartmentから表彰して頂きました。