教育

1.消化器内科の目指す医師像

 健康における国民の願い。 それは大病のない人生を送ることではないでしょうか。 医療の現場では生活習慣病の診療のみならず、消化器・循環器疾患などに起因する救急症例の初期診療を行い、高度救急救命医療の必要性を的確に判断できる医師が求められています。 内科医としての医学の知識や技量を高める研修プログラムを通じて、私たちはチーム医療の中核としてリーダーシップを発揮できる人材の育成し、この二一ズに応えたいと考えています。 あなたの目指すのは患者さんの急変にも対応できる掛かりつけ医ですか、それとも内視鏡手術や癌治療を行う消化器病専門医ですか。

 私たちは肝臓・胆膵・消化管のすべての領域に全国で名の通ったスタッフを配し、あなたの到達目標に応じた効率的な内科研修プログラムを提供したいと考えています。 掛かりつけ医から消化器病専門医まで、あなたの将来の希望をお教え下さい。 多くの診療科との連携を通じて、あなたの希望する到達目標を達成できる研修プログラムとキャリア・パスをいくつかご提案させていただきたいと思います。 私たちのプログラムを履修すれば、自ずと認定内科医や総合内科専門医への道が開けます。 また、後期臨床研修を通じて、消化器病専門医・消化器内視鏡専門医・肝臓専門医・医学博士などの資格取得や米国・英国・豪州などへ留学の道も開けます。

 掛かりつけ医による診療の基本は、小さな予兆を見逃さずに大病を早期に発見することです。 進行した胃癌はどんな名医が治療しても完治させることは容易ではありません。 しかし、早期胃癌の多くは完治できます。 あなたがhome doctorとして丁寧に上部消化管内視鏡検査を行えば、早期胃癌を発見することができるのです。 初めて早期胃癌を見つけることができた時、あなたはきっと特別な感慨を覚えると思います。 当科の医局員の4割は女性です。日々細やかな心遣いで上部消化管内視鏡検査を行えば、患者さんの負担は半減することでしょう。 自転車に乗るコツを覚えればブランクがあっても直ぐにまた自転車に乗れるのと同じで、消化器内科は出産・産休によるブランクがあっても勘をすぐに取り戻すことの可能な診療科です。 私たちと一緒に1年後、3年後、5年後のあなたの未来を探してみませんか。

2.初期臨床研修

 当科における2ヶ月間の短期臨床研修の到達目標は「初期臨床研修の到達目標」として掲げられた項目を履修することです (全般的に広く研修を希望する場合のローテート事例)。 しかし、往診の必須のアイテムである腹部超音波検査手技の修得をこの短期臨床研修プログラムに組み込むことは、時間的に困難です。 そこで「一般内科医の診療レベルで必要とされる腹部超音波検査手技の修得」を到達目標とする2ヶ月間の延長研修プログラムを用意しました。 消化器疾患は救急医療の1/3を占めますので、希望があれば腹部超音波検査手技の履修と平行して、人体模型を用いた上部・下部消化管内視鏡検査の「前臨床研修」を履修することも可能です(検査手技の修得を希望するローテート事例)。 患者さんの急変に対応できる内科医となるには気道を確保する研修や救急研修が有用であり、第一線の病院における救急研修の前に消化器専門医の下で検査手技を集中的に研修することは、より充実した救急診療の研修を可能にします。 ここで、9ヶ月の研修を終えたあなたを思い描いてみましょう。 患者さんが急変しても気管挿管を含む救急処置のできるあなたは、すでに災害時医療に貢献できる技量を身につけています。 腹部超音波検査手技はすでに一般内科医レベルに達しており、明日からでも上部消化管内視鏡検査の臨床研修を始めるができます。 この自信はあなたの診療に余裕をもたらすことでしょう。

 でも、救急医療を経験したこの時期、あなたは病状説明などを通じて患者さんとコミュニケーションを取ることの大切さを実感しているかもしれません。 精神科の研修を通じて、患者さんの心のありようやコミュニケーションについて学ぶ良い機会ではないでしょうか。 自立した内科医を目指すあなたは、画像診断の重要性もきっと痛感していることと思います。 胸部XPやCTの読影能力を一般内科医レベルに向上させるためには、放射線科での研修が好適です。

 検査の基本手技と画像読影能を身につけ、笑顔で患者さんとの何気ない会話ができるようになった1年後のあなたを思い描いてみましょう。 充実した1年間の研修を履修すれば、あなたは医師としての自覚と自信を持って2年目の研修を迎えることができるはずです。 2年目の研修は外科研修や協力病院での地域医療の研修から始めてはどうでしょうか。 6月には後輩の初期臨床研修医が腹部超音波検査や上部消化管内視鏡検査の研修が始まります。 初期臨床研修2年目の自由選択枠を用いて上部消化管内視鏡検査のアドバンス研修を選択すると、あなたは光学診療部で上部消化管内視鏡検査を担当することになります。 1年間で学んだことを後輩に教えることにより、修得した知識や手技の定着を図ることができます。 その過程であなたは「消化器内視鏡専門医の指導下に、自立して上部消化管内視鏡検査を行うことができる」というアドバンス研修の到達目標を楽々と達成できるでしょう。 その意味から、あなたにとってこの時期は身につけた知識や技量を再確認する良い機会となるでしょう。

 初期臨床研修の仕上げは、第一線の協力型病院であなたを待つ消化器内視鏡専門医の個人レッスンに当ててみませんか。 早期胃癌の多くは完治できますので、早期癌を一つ見つけるたびに医師は患者さんに幸せをプレゼントすることができます。 消化器内視鏡専門医の個人レッスンによって一度早期胃癌を見つけることができれば、不思議なほどに次から次へとあなたは自力で早期胃癌を見つけることができるようになります。

 2年間の初期臨床研修の終わる頃、あなたから患者さんに届ける初めての幸せをお手伝いできればと私たちは願っています。

3.ローテート推奨プラン

 当科では、家庭医から消化器専門医まで地域医療の中核を担うリーダーシップを発揮できる人材の育成を目指します。 初期臨床研修は自立した内科医への第一歩です。 初期臨床研修ローテーションを例示します。 あなたの将来の希望をお教え下されば、多くの診療科との連携を通じてあなたの希望する到達目標を達成できる研修プログラムとキャリア・パスをいくつかご提案させていただきたいと思います。 研修の詳細な内容のお問い合わせや確認については、内田一茂(uchidak@kochi-u.ac.jp)までお問い合わせ下さい。

4.後期臨床研修

 後期臨床研修はチーム医療のリーダーの自覚を高めつつ、より高度な診療技術と知識を吸収する大切な時期です。 高知県下はもとより、京阪神・中国地方にある全国有数の人気基幹病院で研修することも可能です。 後期臨床研修の1年目が終わる頃、あなたは認定内科医の資格を得て、内科医としての第一歩を踏み出します。 卒後3年目以降のキャリア・パスを例示しました。 念ずれば花開く。 この例を参考にあなた自身の未来をご提案下さい。 あなたの自己実現に適したキャリア・パスを作るために、先輩は喜んで相談に乗ってくれることでしょう。

5.キャリア・パス

 消化器内科領域では多くの専門医、指導医資格の取得が可能です。初期臨床研修ののち、第一内科での研修プログラムにより5年目終了後に内科専門医の取得が可能です。またSubspecialty重点型での研修により6年目で研修を終了し、最短で7年目に消化器病学会専門医、消化器内視鏡学会専門医、肝臓学会専門医を取得できます。

 大学院への入学は、社会人入学なら研修プログラム中でも入学可能ですので、専門医取得と学位取得を平行して目指すこともできます