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内視鏡下手術




腹腔鏡手術


子宮鏡下手術とは 腹腔鏡手術



◎子宮鏡下手術とは

子宮鏡という内視鏡を使い、モニターで子宮の内腔を観察しながら、内視鏡の先端についている電気メスで子宮内膜ポリープや子宮粘膜下筋腫を切除する手術です。



メリットとしては、お腹に傷をつけないので手術後の痛みが少なく回復が早い、入院期間が短い(通常、手術翌日に退院できます)などが挙げられます。一方、デメリットとしては、病巣の大きさや位置によっては1回の手術で完全に取りきれない場合があること、子宮穿孔や出血・感染・子宮腔内癒着などのリスクがあることです。


適応となる疾患

  • 子宮筋腫:不妊や過多月経の原因となる子宮内腔に突出している筋腫が適応となります。突出している部分を電気メスで削りながら筋腫を切除します。
  • 子宮内膜ポリープ:不妊や過多月経・不正性器出血などの症状があるものが適応となります。ポリープを電気メスで切除します。
  • 子宮奇形:流産を繰り返す原因となるような中隔子宮が適応となります。中隔を電気メスで切除し、子宮内腔を平らにします。
  • 子宮腔内癒着症:子宮内膜掻爬術の後に起こることがあり、反復流産・不妊症の原因となります。子宮内腔が平らになるまで癒着を剥離します。
  • その他:明らかな子宮の異常がないのに月経量が多い場合(機能性過多月経)に、今後妊娠の希望がない方であれば、月経量を減少させる目的で子宮内膜全面の焼灼(子宮内膜焼灼術)を行います。


起こりうる合併症

  • 出血:電気メスで止血をしますが、子宮内膜を焼灼することで癒着などを起こすことがあるため少量の出血であれば自然に止まるのを待つこともあります。出血が多い場合は、再手術になることもあります。また非常に稀ですが、出血が多量になった場合は、特定生物由来製品の使用や輸血が必要となることもあります。
  • 感染症:子宮・子宮付属器(卵巣・卵管)および腹腔内に感染を起こすことがあります。手術前と手術後に抗生物質を使い,細菌感染を予防します。
  • 子宮腔内癒着:子宮内膜を広範囲に焼灼した場合や感染から子宮内膜炎を生じた場合に、子宮内腔が癒着することがあります。
  • 子宮穿孔:十分注意しながら行いますが、電気メスなどで子宮の壁を破ってしまう可能性もあります。その場合は、子宮の状態や腸管などに損傷がないか確認するために腹腔鏡手術や開腹手術が必要になることもあります。また大きい筋腫など子宮穿孔のリスクが高い症例では、あらかじめ腹腔鏡手術を併用することもあります。
  • 水中毒:子宮腔内での視野を確保するため、手術中は子宮腔内に水(純水)を注入しながら行います。その水が表面の血管などから体内に吸収されると、体内のナトリウム濃度が低下し水中毒と言われる状態を引き起こします。意識障害や頭痛、気分不良などの症状がでることがあります。手術時間が長くなるほど水中毒を起こすリスクが高くなるため、手術が長時間となる場合は手術を2回に分けて行うこともあります。
  • 深部静脈血栓症、肺塞栓症(エコノミークラス症候群):麻酔中は足が動かないため、下肢の静脈に血栓ができることがあります。血栓ができると動き始めたときに、血栓が血流にのって全身に飛んでいくことがあり、肺塞栓症などの重篤な合併症を引き起こすことがあります。手術時間が長くなることが予想される場合などは、深部静脈血栓症の予防として下肢の血流が淀まないよう、弾性ストッキングの着用や間歇的空気圧迫法を行います。


入院から手術まで

  • 入院:通常は手術の前日に入院となります。
  • 手術の説明:入院当日に担当医から手術について説明を行います。ご家族にも同席していただき、一緒に説明を聞いてもらいます。
  • 麻酔の説明:手術を担当する麻酔科医より麻酔の説明があります。麻酔方法は、患者さんの状態に応じて全身麻酔か腰椎麻酔のどちらかを選択します。
  • 子宮頚管拡張:子宮鏡の出し入れをスムーズにするために必要な処置です。手術前日の夕方もしくは手術当日の朝に行います。ラミセル®またはダイラパンS®といった子宮頚管拡張器を使用します。この処置の後から、予防的に抗生剤を使用します。
  • 飲食:手術当日の朝から手術終了まで食事はできません。水分の摂取は、手術前3時間までは可能です。(人によって異なる場合があります。)


手術後〜次の外来診察まで

  • 手術後から翌日の朝までは、基本的にはベッド上で安静となります。また、手術当日の夕食から食事が再開します。(手術の時間帯や麻酔方法により異なる場合があります。)
  • 手術翌日の朝に診察と血液検査を行い、問題なければ退院となります。
  • 退院後、次の外来受診までは入浴と激しい運動は控えてください。
  • その他のこと(仕事・家事など)に関しては、退院時にとくに注意がなければ、退院した次の日から通常通りに行えます。

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◎腹腔鏡手術とは

腹腔鏡手術とは、腹腔鏡という内視鏡を用いてテレビモニターで腹腔内を観察しながら、鉗子(組織を把持したり,切ったりするものです)により行う手術です。

下腹部に5-12mmの切開を3-4箇所につくり、腹腔内を観察しやすくするため二酸化炭素ガスを腹腔内に注入(=気腹法)して行います。麻酔は全身麻酔で行います。

小さな切開創で行うため、開腹手術に比べて術後の痛みが少ない、術後の回復が早く入院日数が少ない、術後創が目立たない、術後の腹腔内癒着がおきにくいなどのメリットがあります。

また最近では、臍に1箇所の切開創で腹腔鏡手術を行う方法(単孔式腹腔鏡、Single Port Laparoscopy)を行っています。単孔式腹腔鏡の適応については担当医にご相談ください。



適応となる疾患

@ 子宮内膜症
A 良性卵巣腫瘍
B 異所性妊娠=子宮外妊娠
C 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
D 卵管性不妊症(卵管水腫・卵管周囲癒着など)

 

E 機能性不妊
F 子宮筋腫
G 子宮腺筋症
H 子宮頚部上皮異形成・上皮内癌・・など



起こりうる合併症

  • 術中術後の出血
  • 周囲臓器損傷(腸管、尿管、膀胱、大血管)
  • 術後感染症
  • 術後腸閉塞
  • 深部静脈血栓症、肺塞栓症(=エコノミークラス症候群)
  • 皮下気腫(二酸化炭素ガスが皮下に漏れることで生じる)
  • 麻酔による合併症

腹腔鏡手術は低侵襲で効果的な治療方法ですが、まれに上記のような重篤な合併症がおこることがあります。腹腔鏡手術中に合併症がおこった場合、その程度によっては開腹手術に移行する場合があります。また術後に合併症が判明し再手術が必要となる場合もあります。出血量が非常に多い時は輸血や特定生物由来製品(人または動物から得られた原料を使用する製品)の使用が必要となることもあります。
このような合併症の発生をできるだけ少なくするため、当科では術前カンファレンスで十分に検討した上で治療法を決定し、さらに合併症の予防対策をたてています。術中術後は、合併症の早期発見に努め、万一合併症がおこった場合は、麻酔科や他科診療科と密に連携をとり、迅速に治療を行うことを目指しています



入院から手術まで

入院時に必要な物品や書類は「入院のしおり」をご参照ください。
当院総合受付で配布していますので、外来受診時にお持ち帰りください。
(高知大学医学部附属病院のホームページにも載っています。)

  • 入院:手術の2日前です。
  • 病棟スタッフからの説明:入院時、病棟看護師より入院中の過ごし方についての説明があります。
  • 手術の説明:入院日もしくは手術前日に、担当医から手術についての説明を行います。ご家族の同席が必要です。(あらかじめ外来で日程を相談いたします)
  • 麻酔科術前訪問:手術を担当する麻酔科医が手術前に診察を行い、適切な麻酔方法や手術後の疼痛管理についての説明があります。
  • 手術室スタッフ訪問:手術を担当する手術室の看護師が術前に訪問し、手術室での過ごし方についての説明があります。
  • 術前処置:腸管を空虚にしておくため、手術前々日に下剤を内服し、さらに手術前夜と手術当日朝に浣腸を行います。創部感染の予防として、臍の清掃を行います。手術の種類によっては、陰毛をカットする場合があります。
  • 飲食:通常、食事は手術前日夕食まで、飲水は術前3時間前まで可能です。詳しくは産科婦人科担当医と麻酔科医の指示にしたがってください。
  • 服薬:入院期間が長引く可能性もありますので、常用薬は予定入院日数より少し多めにお持ちください。入院後に薬の内容を確認し担当医または薬剤師より服薬指導をします。


手術後から退院まで

  • 手術当日はベッド上での安静となります。手術翌日朝には膀胱留置カテーテルを除去して、さっそく離床を始めます。痛みがあって離床しにくい場合は我慢せず遠慮なくおっしゃってください。鎮痛を十分に行います。早期離床により血栓塞栓症や術後腸閉塞などの術後合併症が減少します。
  • 手術翌日朝より飲水を開始し、昼から食事を開始します。はじめは重湯から徐々に普通の食事に戻していきます。
  • 食事が通常にとれており、排便障害・排尿障害がなく、術後の血液検査や診察で経過がよければ退院となります。
  • 退院は、腹腔鏡下手術では術後5日、腹腔鏡補助下腟式子宮全摘術では術後7日となります。(状態によって前後します)


術後の生活は

退院後は自宅療養となりますが、一般的な家事やデスクワーク程度の軽作業であれば退院後数日から1週間くらいで可能となります。長時間の立ち仕事や激しい運動などの開始時期に関しては、個々人の状況により異なりますので、退院時に担当医とご相談ください。
退院後に、発熱がある、不正出血がある、創部の痛みが強くなる、排尿や排便に異常があるなど気になる症状を認めたときは、当科外来にお電話でご相談ください。(休日・夜間は2階西病棟にご連絡ください)


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