高知大学 医学部 外科学講座 外科1
平成20年1月
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本年は教室開講30周年記念の年に当たります。教室の大目標である研究マイン
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ドを持った優れた外科医(Academic Surgeon)の育成に向かって、大きな成
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果が得られる飛躍(ジャンプ)の年にしたいと切望します。
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1.母校愛を培う医学教育の充実:新しい外科医の確保
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外科医は古今東西 “やりがいのある魅力的な職業” として人気がありました。し
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かし、昨今日本では 「ハイリスク・ローリターン」 という理由で敬遠され、外科医不
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足が進行中です。さらに高齢化社会も併せて進んでいて、国民病と言われる癌患
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者数は増え続けており、10年後には現在の約2倍になると予想されています。「最
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後の砦」として多種多様の癌治療の最前線に立つ外科医はこれから益々その存
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在価値を増し、必要不可欠な職種になっていくことでしょう。
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新しい外科医の卵を確保し、優れた外科医へと育成することは高知大学も参加し
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ている我が国の癌プロフェッショナル養成プランに直結する大きな社会貢献事業
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の一つといえます。われわれは新しい外科医の確保に向けて、他力本願ではなく
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自分たちのできることから努力しています。まず教室レベルで可能な限りの労働
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環境整備と報酬の改善を行っています。すなわち 「過重労働かつ低賃金かつ雑
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用ばかりの大学勤務医」 の実態を払拭することから開始しました。
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また女性外科医が今後増加することを想定して、結婚・出産・育児に際しても、で
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きるだけ handicap にならないように仕事が継続できるような斬新なシステムを構
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当科の特徴はパーツ教育法の導入で若い時期から手術が執刀できるだけでなく、
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研究成果は必ず英語論文で公表することを目標に指導しており、教室全体で優
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れた外科医を育成しようとする姿勢が貫かれていることです。幸いなことに、周囲
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の皆様から研修医や学生教育にとても熱心な教室であるとの高い評価をいただ
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いております。外科臨床実習を主体とした医学教育をより一層充実させ、自分た
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ちの魅力的な世界(手術)をアピールしていけば、仲間は必ず増えていくものと信
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じています。毎年一人でも多くの新しい戦力を補強し、将来優れた外科医になって
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2.良好な手術成績は良好な人間関係から生まれる:急増している手術数
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お蔭様で昨年(平成19年1月から12月まで)は、教授就任時の公約である “年間
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の肝切除+膵切除100例以上” の達成寸前の94例 (肝切除71例、膵切除23例)
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まで到達しました。今年こそ公約を達成したいものです。近年増加中の肝・胆・膵
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外科手術数だけでなく、以前から当科の得意分野であった食道癌、胃癌、大腸癌
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に対する内視鏡外科手術や乳癌縮小手術の件数も順調に伸びています。これも
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一重に消化器内科 (大西教授)、麻酔科 (真鍋教授) をはじめとする学内の皆様
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および多数の患者さんを紹介してくださる関連施設の皆様のご支援・ご協力の賜
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また小児外科は昨年4月より久留米大学小児外科 (八木 実教授) から緒方宏美
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先生を派遣していただき、専門的な手術が徐々に増加してきており、益々の飛躍
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が期待されています。各グループのメンバーの質と量を向上させながら今年も多
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3.すべての研究は英語論文で完結:飛躍中の学術的業績
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昨年は国際学会発表および国内学会の主題発表が共に10個以上とかつてない
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ほど充実した年でした。教室員が筆頭著者の英語論文数も増加しています。個人
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差はありますが、最近の教室員の学術的分野での活躍は目覚しく、教室の規模
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や臨床の忙しさを考慮した場合、「よく頑張っている」の一言です。
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グラント取得による外部研究資金の獲得も順調で、既に2つの産学協同研究が
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スタートしています。指導者として大変誇りに思っています。この調子で本年も高
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知から世界に向けてどんどんエビデンスを発信していきましょう。
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本年4月に教授就任3年目を迎えます。皆様のお蔭で、ホップ(1年目)、ステッ
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プ(2年目)はうまく繋がりました。桜満開の4月1日には2年ぶりの新戦力を迎え、
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教室開講30周年記念に相応しいジャンプ(3年目)の年にしたいものです。
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3つ星レストランならぬ3つ星教室を目指し、近い将来 “高知大学で最も光り輝く
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教室” に成長できるように、これからも努力を続けます。引き続きまして皆様か
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らの温かいご支援・ご協力を賜りますよう何卒宜しくお願い申し上げます。
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