外科専門医取得に関する当教室の指導方針 (2016年度版）
高知大学外科学講座 外科1 教授 花﨑 和弘
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育成プログラム"を日本外科学会の新専門医制度への取組みの中で公表している ―
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はじめに
下記の3項目が日本外科学会外科専門医制度による外科専門医資格取得のための必須条
件である。
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2) 修練開始登録後満4年以上経た段階で予備試験（筆記試験）受験
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3) 予備試験に合格後、修練開始後満5年以上経て規定の修練をすべて経験した段階で
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認定試験（面接試験）を受け、合格すれば資格取得となる
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1) については教室で手配し、2) についても教室で傾向と対策を行う。3) の規定の修練内容
は、修練実績（後述する必須とされる最低手術経験数を参照）＋ 業績（筆頭者として研究発
表または論文発表された合計20単位必要で、単位の詳細については最終ページに記載）の
2点である。
以下に外科専門医取得に関する当教室の指導方針を示す。
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指導の基本方針
1. 入局と同時に日本外科学会に入会していただき、修練開始登録を行う。
2. 当教室では日本外科学会の外科専門医取得は入局4年目(卒後6年目)を目安と考えて
指導している。
3. 入局1年目(卒後3年目)は原則として高知大学医学部附属病院外科1にて研修を行い、
外科医としての基本的な思考力、スキルを学ぶ。
4. 入局2年目は医局人事として高知大学医学部附属病院外科1、県内の関連施設あるいは
国内の専門施設（国内留学）で研修を行う。なお、研修施設については外科専門医研修
指定施設(もしくは関連施設)である事を必須としている。また施設の指導力については
レジデントからのフィードバックおよび指導医からのヒアリングをもとに、花﨑（教授）以下
教室スタッフが随時評価を行う。十分な指導力を有し、手術症例数が豊富な施設ほど派
遣施設としての優先度は高いが、昨今の地域医療崩壊の危機も考慮し、柔軟な対応を
心がけたい。
5. 入局3年目以降は原則として個々の希望する進路を尊重するが、入局後の研修態度、修
練実績や学術的業績なども加味した客観的評価も同時に行い、フレキシブルに対応する。
基本的にはこの段階での大学院進学を勧めており、専門医取得と同時進行で学位の取得
を目指す事が望ましい。
6. 当教室では近年多数の全国学会での主題発表および英語論文を発表しており、最近5年
間で 100 編の英語論文が発行され、80 編以上の主題発表が行われた実績を有する。入
局者にも積極的に学会活動、論文作成を指導している。既に初期研修医時代に英語論文
発表 and/or 国際学会発表している入局者もおり、2009年度には入局1年目で全国学会の
主題発表を複数行った教室員もいる。したがって、外科専門医を取得する上で必要な業績
（論文および学会発表）は入局後4年を経た段階で容易に満たしている。尚、論文作成の詳
細については当科ホームページの入局案内（ 2．外科医育成のシステムと資格取得）に掲
載中。
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修練実績：必須とされる最低手術経験数について
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（1）体幹（胸腹部）臓器損傷手術…3点（術者）、2点（助手）
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（4）日本外傷診療研究機構e-learning受講…2点
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（7）日本腹部救急医学会認定医制度セミナー受講…1点
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※（2）～（7）については申請締切日までに受講されたものがカウント対象となります。
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※ 2010（平成22）年12月31日までの手術症例
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登録期限が終了しましたので、2012（平成24）年12月31日時点で登録が完了し、
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当該指導責任者の承認を得ていなければ、認定試験（面接試験）の受験申請の
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ために利用することはできません。これから遡って登録することはできません。
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一般社団法人National Clinical Database（NCD）に登録してください。外科専門医
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の認定を受けるために必要なデータはNCDから抽出します（NCDの診療科長また
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は主任外科医に承認されていること）。なお、NCDでは当年1月から12月までの手
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術症例は、原則として翌年3月末日を登録期限としています。 |
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・ 当教室は 消化器外科（肝胆膵外科・消化管外科） ・ 乳腺内分泌外科 ・ 小児外科
を専門としており、上記①②⑥については入局1年目の大学病院での研修で必要症例数
を十分に経験することができる。
・ ⑦の小児外科については今後症例数の増加が見込まれるが、現状では1年間で上記症
例数を経験することは難しいと思われる。しかし、久留米大学医学部小児外科教室（八木
実外科主任教授）から全面的なご支援も得ながら、久留米大学医学部小児外科教室へ
の短期または長期派遣および関連施設での研修を追加することで入局4年目までに経験
することは容易である。
・ 上記③④については初期臨床研修中に経験しておくことが望ましい。当院で初期臨床研
修中の当教室入局志望者には、当院外科2研修時に必要症例数を経験できるよう予め
外科2渡橋教授にご協力をお願いし、絶大なるご支援をいただいている。他施設での初
期臨床研修者を含め、諸々の事情により、初期臨床研修中に必要症例数を経験できな
かった入局者に対しては、入局１年目の研修中に外科2教室(渡橋教授)のご協力を頂き、
必要症例数を経験できるように配慮している。
・ 上記⑥については透析用のAVシャント症例を経験しておくことが、外科医としてのスキル
向上のうえで最も有用である。初期臨床研修において上記⑥の必要症例数を経験できて
いない入局者については、入局1年目に当教室の関連施設でAVシャントの指導を受ける
ように手配している。関連施設の中には年間約250例のAVシャント実績を持つ県内屈指
の施設もあり、短期間で必要症例数を経験できる。
・ 上記⑧については入局2年目以降の関連施設での研修で十分に経験可能である。
・ 上記⑨については当院がん治療センター部長(医療学講座医療管理学分野教授)の小林
道也教授が日本内視鏡外科学会技術認定(消化器・一般外科)を有しており、小林教授に
ご支援いただきながら、当科でも積極的に内視鏡外科手術を行っている。また2009年2月
の低侵襲手術教育・トレーニングセンターの設置に伴い、内視鏡外科手術の教育・トレー
ニングの水準は著しく向上した。入局1年目の研修で容易に経験可能であり、特に腹腔鏡下
胆嚢摘出術に関しては早い段階で執刀医として手術ができるように積極的に指導している。
・ 当科では2006年4月より若い時期から執刀医として外科医を育成するパーツ式外科手術
教育法を導入しており、最近5年間の実績から判断して、入局1年目に大学病院で1年間研
修を行う事で、手術経験症例数150例以上、術者として50例以上の経験を積むことは比較
的容易である。大学病院で卒後3年目のレジデントが経験する手術数としては質量ともに
充実した部類に入ると自負している。またその内容についても、肝切除、膵切除、胃切除、
腸切除および胆管-空腸吻合を含む消化管吻合などの高度な術式も含まれており、鼠径
(そけい)ヘルニアや虫垂炎のような他施設で多く経験できる手術だけに偏っていることはな
い。入局2年目以降に関連病院で研修を行う場合には、大学病院以上に術者を経験でき
るよう、派遣先の施設にも強く要望を出し、依頼している。したがって入局後3年(卒後5年)
を修了した時点で、日本外科学会専門医取得に最低限必要な手術数である術者数120例、
経験症例数350例は容易にクリアする事ができる。
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最後に
当教室では以上のような方針で、原則として入局4年目(卒後6年目)に日本外科学会認定の
外科専門医資格を取得できるように指導している。実績としては2009年に花﨑教室での初め
ての日本外科学会専門医試験合格者を3名輩出した。
全国的に外科医不足が叫ばれる中、幸いな事に高知大学医学部において当科は臨床・教育・
研究の全部門において初期研修医および医学生から高く評価され、花﨑教室開講以来5年
間で13名の新人が入局した。こうした評価をより確固たるものにするために、今後とも医学教
育には特に力を注いでいきたい。
若い力、新しい血の導入は組織活性化に直結し、より高いレベルの組織へと発展していくた
めには不可欠である。私は「自分の成長を実感できる魅力ある教育環境と教育システムを提
供しなければ大学教室に若者は集まって来ない」と考えている。当科のレジデント教育は若い
時期から執刀医として育成するパーツ式外科手術教育法をはじめとする外科医育成を重視
した魅力溢れる教育法が徹底して実践されており、全国的に注目されている。したがって外
科医として十分満足感が得られ、自分の成長を実感できる充足した研修の日々を送れるも
のと確信している。また夏期休暇を利用して国内外の一流施設での研修も推奨されており、
自分の目標をより高いレベルに設定すればするだけの成果が得られるような研修システムを
取り入れている。本研修システムをこれまで多くのレジデントが活用し、中には短期研修先を
その後の長期留学先にも選択して、自分の成長に繋げている教室員もいる。
私は一人でも多くの優れた外科医を育成したいために教授職についた人間である。将来高
知県だけでなく、日本の外科医療発展に貢献できる人物を一人でも多く育成したいといつも
夢見ながら熱血指導を心がけている。これからも高知に相応しい"若い教室員に活気があっ
て、明るくて楽しい外科教室"を目指すだけでなく、同時に時代の変化に充分適応できる競争
力を持った柔軟な組織作りにも取り組んでいきたい。高知大学の出身者・非出身者に関係な
く、多くの若者が当教室の門を叩き、新しい仲間になっていただける事を心から願っている。
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付記. 単位の詳細
1. 研究発表
(1) 日本外科学会定期学術集会 20単位
(2) 海外の学会 20単位
例) International Gastric Cancer Congress，Asian for Society of Cardiovascular
Surgery など
(3) 外科系(サブスペシャリティ)の学会の年次総会、定期学術集会 15単位
例) 日本消化器外科学会、日本胸部外科学会、日本臨床外科学会 など
(4) 全国規模の外科系(サブスペシャリティ)以外の学会の年次総会、 10単位
定期学術集会
例) 日本消化器病学会、日本内視鏡外科学会、日本救急医学会、日本癌学会 など
(5) 外科系（サブスペシャルティ）の学会の地方会、支部会 7単位
例) 1-(3) 参照
(6) 各地区外科集談会 7単位
例）外科集談会、大阪外科集談会、九州外科学会、山陰外科集談会 など
(7) 全国規模の研究会 7単位
例) 大腸癌研究会、日本肝移植研究会、日本ヘルニア研究会 など
(8) 地区単位の学術集会、研究会 5単位
例) 北海道医学大会、四国内視鏡外科研究会、九州内分泌外科学会 など
(9) 全国規模の外科系（サブスペシャルティ）以外の学会の地方会、支部会 3単位
例）1-(4）参照
(10) その他 3単位
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2. 論文発表
(1) 日本外科学会雑誌、Surgery Today 20単位
(2) 英文による雑誌 20単位
例) General Thoracic and Cardiovascular Surgery，Pancreas など
(3) 著作による書籍 20単位
(4) 外科系(サブスペシャリティ)の学会の和文雑誌 15単位
例) 1-(3)参照
(5) 全国規模の外科系（サブスペシャルティ）以外の学会の和文雑誌 10単位
例) 1-(4)参照
(6) 編纂された書籍の一部 10単位
(7) その他 7単位
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