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診察案内 - 慢性閉寒性肺疾患(COPD)

COPDとは?

COPDとは?
日本語にすると慢性閉塞性肺疾患です。
英語のChronic Obstructive Pulmonary Diseaseを略してCOPDです。

タバコなどの有害なガスを吸い込むことによって、気管支や肺に障害がおこります。
その結果、徐々に酸素の交換が上手くできなくなります。

COPD患者はほとんどが喫煙者です。

最初は喫煙による咳ぐらいしか症状がありませんが、、、
徐々に労作時の息切れや咳・痰が続くようになり、、、
さらに進行すると日常生活も制限されるようになります。

呼吸不全のため肺炎も重症化しやすく、心臓に負担がかかるため心不全も合併します。

■関連コラム:COPD(慢性閉塞性肺疾患)について知ろう
(高知大学医学部のページに飛びます)

COPDの診断

COPDの診断
咳・痰と労作時に息切れのある喫煙者 →COPD疑い

診断にはスパイロメトリーという機械を使って、肺機能検査を行います。
この検査で閉塞性換気障害を認めたとき、COPDと診断します。
具体的には1秒率(FEV1.0%)が70%未満のときです。
但し、他の呼吸器疾患を除外することが必要です。

COPDの病期分類
重症度は1秒量(%FEV1.0)によって分類されます。
 Ⅰ期:軽症(%FEV1.0≧80)
 Ⅱ期:中等症 (50≦FEV1.0<80)
 Ⅲ期: 重症 (30≦FEV1.0<50)
 Ⅳ期:最重症(%FEV1.0あるいはFEV1.0<50で慢性呼吸不全あるいは右心不全合併)

COPDの治療

COPDの肺の変化は不可逆的なため、根治的な治療法はありません。
残った肺の機能を最大限活用するために、薬物療法だけでなく、運動療法、栄養療法、心理的援助、社会資源の利用などの実践的な指導をチーム医療として行っていく必要があります。

慢性安定期の治療 ガイドラインに基づいて治療を行っていきます。
禁煙指導・・・まず禁煙! 悪化させない確実な方法です。
ワクチン接種・・・インフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチンどちらもメリットがあるとされています。
気管支拡張薬・・・抗コリン薬、β2刺激薬、テオフィリンが処方されます。
副腎皮質ステロイド・・・重症COPDや気管支喘息を合併例で吸入ステロイドを使用します。
去痰剤・・・痰が多いとき
酸素療法・・・呼吸不全があるときに適応となります。在宅酸素療法(home oxygen therapy: HOT)を行います。
呼吸リハビリテーション・・・口すぼめ呼吸や複式呼吸などの呼吸訓練があります。
栄養療法・・・COPDの進行とともに体重減少がみられるため、十分なエネルギーとバランスのよい食事が必要です。

増悪時の治療 増悪の原因で多いのは細菌・ウイルスによる感染です。
気管支拡張薬・・・アミノフィリンの点滴やβ2刺激薬のネフライザー吸入などを行います。
副腎皮質ステロイド・・・COPD増悪時にはステロイドの内服または点滴が適応となります。
抗生物質・・・細菌感染が疑われたときに必要です。
心不全の治療・・・呼吸不全が悪くなると、右心不全を合併するため、利尿剤などの心不全治療も行います。
換気補助療法・・・要するに人工呼吸管理です。

宅酸素療法 (HOT: home oxygen therapy)

読んで字のごとく、「家でも酸素吸入をする治療法」で、英語を略してHOT(ほっと)と呼ばれています。
呼吸不全があれば、常に酸素を吸ってもらうことで、生命予後の改善やADLの向上、QOLの改善が期待できます。
現在COPDの治療において欠かすことができないもののひとつです。

HOTの適応
①高度慢性呼吸不全・・・COPDが代表!
②肺高血圧症
③慢性心不全
④チアノーゼ型先天性心疾患
COPDは上記①の代表的な疾患ですが、その他にも肺結核後遺症、間質性肺炎、気管支拡張症、塵肺、肺癌などの呼吸器疾患があります。

酸素濃縮装置と液化酸素
約90%の方が酸素濃縮装置を使用しています。
これは箱型の小型冷蔵庫くらいの大きさのもので、コンセントをさして電源を入れると出口から酸素が出てきます。
大きさは年々小さくなってきています。また、外出時には携帯型の酸素ボンベ(3.5~5kg))を使用します。
液化酸素は-189℃で液化した酸素を設置型装置(親器)に貯蔵し、そこから気化した酸素を吸入します。
外出時には携帯容器(子器)に酸素を充填します。酸素ボンベと違い、軽い(約2kg)ことが一番の長所です。

HOTを受けるにあたって
HOTは患者さんが直接機械を購入したり、レンタルしたりするのではありません。
まず、病院と業者さんの間でレンタル契約および在宅酸素指示書の作成を行い、それに基づいて患者さんは業者さんから機材の提供を受けます。
患者さんは月に1回以上外来診察を受け、在宅酸素治療法としての医療費を支払ます。外来診察では酸素量が適切であるかどうか血液ガスもしくはSpO2を測定します。
業者さんは病院からレンタル料を受け取る形になります

CO2ナルコーシスに注意
COPDでは二酸化炭素分圧(PaCO2)が高い、Ⅱ型呼吸不全のことがあります。
Ⅱ型呼吸不全の場合に長時間高濃度の酸素を投与すると、CO2ナルコーシスとなります。こういった患者さんに酸素療法を行う場合には在宅でも非侵襲的陽圧換気(NIPPV)を併用します。

禁煙のススメ

禁煙のススメ
喫煙は多くの疾患の危険因子であり、世界中で毎年約300万人がタバコが原因で死亡しているとされています。
例えば、喫煙者では肺癌で4.5倍、喉頭癌で32.5倍も死亡率が高くなります。本人だけでなく、配偶者の死亡率も肺癌で1.9倍高いというデータもあります。
COPDは別名「たばこ病」ともいわれ、ヘビースモーカーに多い病気です。
90%以上の患者が喫煙者であり、予防および治療の第一選択は禁煙となります。

禁煙治療
H18年4月から禁煙治療が保険適応となりました。
これは喫煙を単なる習慣や嗜好ではなく、「ニコチン依存症」という病気として考えて治療を行っていくということです。
禁煙治療の対象者は①~④をみたす人です。
①直ちに禁煙しようと考えている
②ニコチン依存症に係るスクリーニングテストでニコチン依存症と診断された
③ブリンクマン指数(=1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上
④禁煙治療に文書により同意

禁煙治療薬剤としてはニコチンパッチに保険が適応されています。
ニコチン製剤の使用により、離脱症状を抑えることができ、禁煙成功率が約2倍になり、また筋援護の体重増加を抑える効果も期待できます。
治療プログラムは、初回診察および2, 4, 8, 12週間後の計4回の再診で構成されます。
初回診察で最も重要なのは禁煙を始める日を具体的に決めることです。
決定後に「禁煙宣言書」に禁煙開始日と氏名を記入してもらい、次に治療担当医が署名します。家族などで協力者がいるときには支援者の欄に記入してもらいます。
禁煙 治療においては心理的依存の解決のため、本人だけでなく周りの家族、医療者の精神的サポートが不可欠で、禁煙に対する動悸づけを行い、不安などの負担を軽減し、自身をつけさせることが大切です。
一人でも多くの方の禁煙が成功し、多くの疾患の予防・治療につながることを期待します。