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コラム -医療情報提供-

健診でみる腎機能検査

 腎臓は尿を作ることで体内の水分量を調節する重要な臓器ですが、他にも体内の塩分やカリウムなどの調節、血圧や造血を調節するホルモンを作るなど多くの役割を担っています。腎臓の機能が低下するとそれらの機能が直接的に障害されるだけでなく、心筋梗塞や脳梗塞などの発症や死亡の危険性が高まります。しかし、腎機能障害は多くの場合自覚症状に乏しく、末期腎不全、すなわち透析目前の状態になるまで気づかれない場合があります。そのため早期発見には健診での腎機能検査が大切です。
 健診でおこなわれる腎機能検査は、尿検査では主に蛋白尿と血尿の検査、血液検査では血清クレアチニンと、それをもとにした推定糸球体濾過量(eGFR)、尿酸値などがあります。
 まず、尿検査についてですが、原発性糸球体腎炎など腎臓そのものの疾患に伴う蛋白尿、糖尿病など全身疾患に伴うもの、尿路系疾患に伴うものなど様々なものがあります。一方、激しい運動後や発熱など体調不良時に一時的に認める蛋白尿や、起立性蛋白尿のように病的な問題のない良性の蛋白尿も存在します。それらを見極めるためにも、健診で蛋白尿を指摘された際には、速やかに腎臓専門医を受診してください。
 血尿は、尿を作っている腎臓そのものに由来した血尿と、腎臓で作られた尿が外へでるまでの通り道からの出血を反映する血尿があります。前者は腎臓内科が専門であり、特に蛋白尿を伴う時には早めの再検査が必要です。後者は尿路結石や膀胱炎などが原因となり、泌尿器科が専門となります。この場合も膀胱癌などが原因となることもあるため、血尿だけを指摘された場合も再検査が必要です。
 血液検査では血清クレアチニン値が最も一般的であり、機能が障害されると数値は上昇します。しかし、数値が正常値上限を超えていても、自覚症状を伴わないことが多く、さらに数値上昇自体は小さく見えても、腎機能は大きく低下していることがあります。最近では「推定糸球体濾過量 eGFR」も評価に用いられています。GFRとは腎臓に1分間にどれだけの血液をろ過して尿を作る能力があるかを表しており、健康な成人の場合eGFRはおよそ100程度、腎機能の低下にともなって数値は低下していきます。eGFR60未満で慢性腎臓病(CKD)と診断され、健康な人と比較して腎機能が60%程度に低下している状態と判断します。
 自覚症状を伴いにくい腎機能障害の早期発見には健診での腎機能検査が大切であり、再検査が勧められている場合には早めの病院受診をこころがけてください。


◎ 著者プロフィール
氏名:島村 芳子(シマムラ ヨシコ)
所属:高知大学医学部附属病院 内分泌代謝・腎臓内科
役職:助教 

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