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コラム -医療情報提供-

すい臓がんについて

 すい臓がんにかかる方は年々増えており、2015年にはじめて死亡者数が3万人を突破し、肝臓がんの死亡者数を抜きました。今後も増加の一途をたどり、近い将来4万人を超えると予想されます。罹患者は60歳から70歳代に多く、高齢化とともに増加しています。またすい臓がんは非常に予後が悪く、5年生存率は5~7%程度です。危険因子として家族歴10~50倍、慢性すい炎5~15倍、糖尿病2倍、肥満2倍、喫煙2倍、などがあります。アルコールも関係している可能性が高く、特に大量飲酒者や飲酒後に赤ら顔になるフラッシュの方は注意が必要です。糖尿病もリスクの一つですが、突然糖尿病になったり、血糖のコントロールが急に悪くなったら注意が必要です。最近はすい臓に粘液を作るふくろ状のものがある場合はすい臓がんのリスクがあるということが分かってきました。
 初期のすい臓がんに特徴的な症状はなく、進行すると腹痛、背部痛、食欲不振、体重減少などを認めることがあります。血液検査では、すい酵素の1つであるアミラーゼや腫瘍マーカーなどもありますが、ある程度進行しないと異常値としては出ません。また画像検査では、まず簡便で負担の少ない超音波検査が有用です。腫瘍マーカーが高い場合などは造影CTやMRI検査などの精密検査が必要になってきます。PET-CTもすい臓がんのスクリーニングや転移診断に有用で、全身が一度の検査で出来るという点でも優れています。当院では最新の超音波内視鏡を導入し、以前は困難であったすい臓がんの組織を比較的容易に採取することが可能になり、すい臓がんの診断に効果を発揮しています。
 治療は外科的治療と内科的治療がありますが、外科的切除が治癒可能な唯一の治療法です。しかし外科的切除の対象となる患者はすい臓がん全体の20%程度で、また手術してもその多くは再発します。そこで内科的な治療が重要となります。内科的治療は抗がん剤が中心になりますが、近年は抗がん剤も進歩してきており、以前は考えられなかった年単位の長期生存をされる方もいます。
 すい臓がんの予防法として禁煙はもちろん受動喫煙も避ける、適度な飲酒、規則正しい生活などが重要です。食事習慣では暴飲暴食をしない、野菜・キノコ・魚などのいわゆる和食中心の食生活も重要です。またストレスは免疫力を低下させる一因にもなりますのでストレスをため込まないことも大切です。まだまだ難治がんの代名詞でもあるすい臓がんですが、少しずつ手術や抗がん剤なども進歩してきていますので、生活の質(QOL)を考慮しながら、粘り強く治療することが大切です。


◎ 著者プロフィール
氏名:耕崎 拓大(コウサキ タクヒロ)
所属:高知大学医学部附属病院 消化器内科
役職:講師

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