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コラム -医療情報提供-

心雑音があると言われたら

 心雑音とは、聴診器を胸にあてて心臓の音を聞いた時に聞こえる雑音のことをいいます。心雑音に関して大事なのは心臓に雑音があっても、必ずしも病気であるとは限らないということです。心臓に病気がなくても聞こえる心雑音というものが存在し、無害性心雑音と言われます。特に小児から思春期のお子さんでは、これらの無害性心雑音が聞かれることが多くあります。
 一方で、病気によって生じる心雑音もあります。大人と子供では心雑音を生じる病気の種類が異なっています。子供で心雑音が聞かれた場合は、生まれつき心臓の壁に穴があいているなどの、いわゆる先天性心疾患が重要です。大人で心雑音を生じる病気の代表は、心臓弁膜症です。心臓の弁は血液が一方向にだけ流れ、逆モレしないように働いています。部屋と部屋の間のドアのようなもので、血液が流れていくときには弁が開き、血液の流れが止まった時には弁は閉じます。心臓弁膜症には、弁が硬くなって開きにくくなる狭窄症という病気と、弁がきちんと閉まらなくなって逆モレする逆流症という病気があります。大人の心臓弁膜症で多いのは、大動脈弁狭窄症と僧帽弁逆流症です。このうちでも大動脈弁狭窄症は、人口の高齢化に伴って最近患者さんの数が急に増えてきています。本来、大動脈弁は軟らかくてしなやかな構造をしているのですが、ご高齢になり動脈硬化のために弁が傷んでくると、弁にカルシウムがつき硬くなってしまいます。そのため、弁が十分開放せず、ドアが狭くなった状態になります。この狭くなった大動脈弁を通過する血液の流れが速くなる結果、心雑音が発生します。
 心雑音があると言われたら、循環器のドクターがいる病院を受診してください。病院では、医者は聴診を含めた診察をまずします。次いで、心臓の超音波検査(エコー検査)を行います。これは心臓に超音波をあてて心臓の形や動き、心臓の中の血液の流れを見る検査で、外来で簡便に行えます。この検査をすると、心雑音が心臓のどこから生じているのかが分かります。先天性心疾患や心臓弁膜症が見つかったとしても、全ての患者さんが手術を必要とするわけではなく、定期的な経過観察でよい場合から、すぐ治療が必要な場合まで様々あります。これは病気がどれだけ重症かにかかってくるのですが、心エコー検査では病気の重症度も正確に判定することが可能です。


◎ 著者プロフィール
氏名:山崎 直仁(ヤマサキ ナオヒト)
所属:高知大学医学部附属病院 内科(循環器)
役職:准教授

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