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コラム -医療情報提供-

手足のふるえ・しびれ

 ふるえは、出現する状況に応じて大きく二つに分けられます。姿勢時の「ふるえ」と、じっとしている静止時、つまり他のことに集中している時に出現する「ふるえ」に大別できます。
 姿勢時のふるえは、水をコップで飲む時や、文字を書くときなどに出現することが多く、その場合は、本態性振戦の可能性が高いです。
 本態性振戦は、ふるえる疾患のなかでは最も頻度の高いものです。ふるえ以外の症状はありません。ふるえは両側、両手にみられますが、足に起こることは通常ありません。なかには首がふるえる、声がふるえる方がおいでます。これらの症状がひどい場合は、完治はしませんが、副作用に注意しながら、β遮断薬や抗てんかん薬による治療を行います。
 静止時にふるえが出現する代表的な疾患がパーキンソン病です。パーキンソン病は多くの場合、からだの片側から発症する特徴があります。診察室に入ってきたときではなく、医師と話しが弾むとふるえる特徴があります。食事をしていて、友人と話しが弾むと片手や「片足」がふるえる特徴があります。この周波数は4-6Hzです。パーキンソン病は進行性の疾患ですが、ふるえを緩和させる薬剤が数種類あります。
 また、内科的に病気をお持ちの方がふるえることがあります。特に甲状腺機能亢進症では、汗をかく、脈が速い、体重が減ることのほかに、振幅が狭く、周波数が10Hz以上と高いふるえが出現します。
 しびれは、感覚神経の経路のどこかに障害がおきると出現します。脳梗塞や脳出血などの脳血管障害によるしびれは、あるときに急に出現した片側性の症状であることがほとんどです。感覚障害に筋力低下を伴うことが多いのですが、感覚障害が唯一の症状であることもあります。片側の口の周りと片側の手がしびれる場合、脳の中の視床というところの脳血管障害の可能性があります。
 脊椎に異常があって、首 (頚椎の近く) や腰 (腰椎の近く) の神経を、圧迫することによって生じるしびれは、慢性的なしびれで最も多い原因の一つです。この場合は、発症の日時が不明であったり、症状の変動があるのと、体の中のある一定の領域に限局、つまり狭い範囲に限ってしびれを認めること、しびれに筋力低下や筋萎縮を伴うことが多い特徴があります。
 手足の末梢神経の障害によるしびれも日常でよく遭遇します。手根管症候群や肘部管症候群は神経の絞扼に伴うものです。ほかにも、血管炎や膠原病などの炎症が関連するもの、ギラン・バレー症候群や慢性炎症性脱髄性多発神経根炎などの免疫が関連するもの、糖尿病などの代謝性疾患に伴うものなど、末梢神経の障害だけでもしびれの原因は実に様々です。
 しびれに対して適切な治療を行うためには、原因の特定が最も重要と考えられます。安易に放置しないで、まずはお近くの脳神経内科を受診してみてください。


◎ 著者プロフィール
氏名:大崎 康史(オオサキ ヤスシ)
所属:高知大学医学部附属病院 脳神経内科
役職:講師

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