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コラム -医療情報提供-

スポーツと膝のケガ

 スポーツ動作において、膝関節には非常に大きな負荷がかかり、ケガ(外傷)が生じやすくなっています。特に足を使う競技や接触プレーの多い競技(サッカー、バスケットボール、バレーボール、ラグビー、スキー、格闘技など)で多くみられます。ここでは手術を要することが多い代表的な膝のケガについて解説します。
① 前十字靭帯損傷:受傷時には「ぶちっ」という音がして、膝が外れた感じがします。数日は関節の腫れが強く、中には大量の血液が溜まっています。数週間すると日常生活に支障はなくなりますが、膝がぐらつくために、スポーツ活動に支障がでます。手術は、損傷した靭帯を再びつくる再建術が標準的な方法です。スポーツ復帰までには通常半年から1年もの期間を要します。
② 半月板損傷:膝には関節を安定化させ、かつ衝撃吸収作用をもつ半月板と呼ばれる軟骨があります。ケガによって半月板に損傷が起こると、痛みと腫れ、時に屈伸時に引っかかる感じがするようになります。治療としては、関節鏡を使った半月板縫合術、部分切除術などが行われます。
③ 関節軟骨損傷:関節軟骨は一度損傷するとほぼ修復しないといわれています。軟骨がなくなったまま放置すると、周りの軟骨も磨耗して変形性関節症になります。通常は手術をして軟骨の修復を行います。小さな損傷では関節鏡で治療可能ですが、大きなサイズのものは切開手術が必要になります。これまで4cm2を越える非常に大きな軟骨損傷は治療が困難でしたが、いまでは自分の軟骨細胞を培養して、なくなった部分に移植する自家培養軟骨移植術も行えるようになっています。
 スポーツにケガはつきものといわれますが、十分な基礎体力がない状態で激しいプレーをするとケガをする確立は高くなります。また、練習のしすぎや寝不足などで疲れがたまっているときもケガに要注意です。日ごろから筋力訓練やストレッチなどの基礎トレーニングを行い、睡眠や食事にも気を使って良いコンディショニングを保つことは、パフォーマンスを向上させるだけではなくケガの予防にもつながります。


◎ 著者プロフィール
氏名:池内 昌彦(イケウチ マサヒコ)
所属:高知大学医学部附属病院 整形外科
役職:教授

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