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コラム -医療情報提供-

ロボット支援手術って何?(前立腺癌、腎癌、膀胱癌に対する取り組み)

 ロボットというと、例えば、ご家庭でお掃除をする全自動化されたロボットを想像すると思います。私たちが使うダビンチシステムは、自動ではありません。操作をするのは、あくまで医師です。アニメに出てくるような、パイロットがコックピットに乗り込んで操縦し、敵と戦う操縦型のロボットと同じです。その操作は、親指、人差し指、中指で、3本の腕を巧みに操作します。執刀医の腕や指の動きが、寸分の狂いなく、時間差なく、ロボットの腕に伝わります。ロボットの腕や指が、まるで自分の腕や指のように感じることができます。これにより、熟練した執刀医が、これまで培った技術を寸分の狂いなく発揮できます。あえて自動化を目指さなかったことが、ダビンチの成功のカギだったのです。
 国内でのダビンチ手術は、2012年の前立腺癌に対する手術が最初に国に認可されました。次いで、2017年に腎癌、2018年には膀胱癌に対する手術が認可されました。わたしたちは、2012年の保険適応当初から、ダビンチ手術を行っており、現在5名の執刀医が手術を手掛けています。うち2名は指導医の認定を所得しています。昨年までに、合計460件の手術を行っています。前立腺癌においては、排尿や性機能をできる限り温存する、神経温存術を積極的に行っています。腎癌では、病気のところだけ切除する部分切除という術式が推奨されています。できるだけ、正常の部分を残し、かつ腫瘍を完全に切除するために、最新のダビンチに搭載されている近赤外線カメラを用いて手術を行っています。膀胱癌においては、昨年4月に認可が下りたばかりの術式ですが、私たちは既に2014年からこの術式を開始しています。膀胱を取った後は、「尿路変更術」という尿の通り道の再建術が同時に必要になります。従来、この部分はお腹を切って行っていましたが、新たな取り組みとして、この「尿路変更術」も全てロボットを用いてお腹の中で行う、新しい手技の準備を始めています。
 以前の癌手術は、大きく切り取って、癌を根絶することが基本とされていました。しかし、その反面、機能損失や合併症が多くなり、患者さんの術後の生活に大きな負担をかけていました。現在の癌手術は、もちろん癌を根絶するのは当然ながら、最大限機能を温存することが重要です。ロボット支援手術はこれらのことを可能にした、革新的な医療技術です。


◎ 著者プロフィール
氏名:辛島 尚(カラシマ タカシ)
所属:高知大学医学部附属病院 泌尿器科
役職:准教授

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