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コラム -医療情報提供-

災害リハビリテーション

 南海トラフ巨大地震は、今後30年間に約80%の確率で発生すると予想されている。この未曾有の大被害を乗り越えるために多くの対策が官民一体となり進んでいる。しかし、発災後は高知県民のほとんどが被災者となり、避難所での生活を余儀なくされる可能性があります。
リハビリテーション医療に携わる医療者は、過去の大規模災害の経験から多くのことを経験しています。
① 超高齢社会における大規模災害時には、救命・救護だけではすまないこと
② 避難所・仮設住宅或いは自宅での高齢・障害者の孤立・生活不活発病、エコノミークラス症候群等があまりにも大きな問題となること(増え続ける想定外の災害関連死)
③ それに伴う種々の病態の予防・改善策が重要であること
④ その対策には発災直後からの迅速且つ組織的・継続的なリハビリテーション支援が非常に重要であること
 それらの対策として誕生したのが、大規模災害リハビリテーション支援関連団体協議会 通称JRAT(ジェイラット)です。JRATは、東日本大震災、熊本地震などの大規模災害時に被災地に全国から災害リハビリテーションチームを送り、被災者への支援活動に取り組み、着実な成果を挙げています。災害地域で活動するJRATチームは、日本医師会災害医療チームJMATの指導監督の下で行動します。
その具体的な被災地での活動は、
① 一次避難所アセスメントを行いながら、弾性包帯の配布や使用法の指導などエコノミークラス症候群に対する予防活動を実施する
② 避難所の状況に合わせた環境整備支援として、公的スペースでは簡易スロープを用いた段差解消、簡易起立補助手すりの配布等を、私的スペースでは必要な避難者に対して褥瘡予防マットレスの支給や歩行補助具の貸与等を行う
③ 生活不活発病に対する予防活動として、集団体操や個別介入、生活指導等を行う。
④ 発災中期以降、これまでの活動に加えて、応急仮設住宅の建設、入居に合わせた段差解消や手すりの設置等の初期改修にかかわる。
 また、全国組織であるJRATの指導監督の下、各都道府県に大規模災害に対処するべく地域JRATが誕生している。高知県でもKORAT(コラット)の名称で地域JRATの組織化が進んでいます。高知県は大規模災害の被災経験者は少なく、実感が乏しい中、被災時に何をすべきなのか、何ができるのかを自分や家族の身に置き換えて想像し、考えることが非常に重要です。一人でも多くの県民の皆様が災害リハビリテーションに興味を持ち、避難所から早期の在宅復帰実現、災害関連死の防止等の活動に積極的に参加する機運が高まることを期待しています。


◎ 著者プロフィール
氏名:永野 靖典(ナガノ ヤスノリ)
所属:高知大学医学部附属病院 リハビリテーション部
役職:助教

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