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コラム -医療情報提供-

新生児・乳児の肝疾患の早期発見を目指して

 最近AI(Aritificail Intelligence;人工知能)という言葉をよく耳にします。医療の分野ではAIを応用した診断技術が今後すすんでくると考えられています。今回、このAIの技術を応用して新生児と乳児の便色から肝疾患の早期発見を目指した臨床実証研究についてお話します。
胆道閉鎖症という生後胆管が徐々に閉塞していく病気があります。母子手帳の中に便色カードが挿入されていますが、これは胆道閉鎖症という病気を見つけるためのものです。胆道閉鎖症では黄疸が続くことや便の色が白くなる特徴をもっていますが、正常児でも母乳による黄疸があるため便の色の変化が重要となります。胆道閉鎖症では排泄される胆汁の量が徐々に減っていきますので便の色も徐々に白色調へ変化していきます。初期の段階では母子手帳の異常な便色の写真と比較しても人間の眼で区別がつかないことがあります。治療は外科手術しかなく、生後60日以内に手術をうけることで治療成績が向上することがわかっているため早い時期での診断が必要となります。
 利用するアプリケーションは2016年にiPhone用として無料公開されたものを基本として開発しています。以前は個人の所有する1台のiPhoneで1人の赤ちゃんの便を撮影していましたが、今回は病院や診療所で複数の赤ちゃんの便の解析ができるように改良しました。検査を希望する赤ちゃんは新生児検診時に当日排泄された便をおむつと一緒に持参していただきます。看護師が便を撮影し判定は10秒前後で終了します。判定は正常、要観察、要注意の3つで表示され、要観察、要注意判定の場合は2回目の撮影を行います。2回目で要注意が出た場合には採血検査が行われ、要観察が出た場合は自宅で便の色の変化に注意してもらいます。判定で要注意が出ればすぐに胆道閉鎖症と診断される訳でなくウィルス性肝炎、体質性黄疸や原因不明の一過性の肝機能障害などが含まれます。この検査で重要なことは胆道閉鎖症を含む胆汁排泄が障害される病気や病態を早く見つけることにあります。便の色を判定する技術は非常に初期的なものですが、AI診断の先駆けになる可能性があります。ご存じの様にAIは学習をしますので病気の赤ちゃんの便の色だけでなく、多くの正常の便の色も必要となります。この実証臨床研究は2019年4月から2022年3月までの3年間を予定しております。現在高知大学病院、県立あき総合病院、幡多けんみん病院と高知ファミリークリニックで御利用できますのでお問い合わせ下さい。


◎ 著者プロフィール
氏名:大畠 雅之(オオバタケ マサユキ)
所属:高知大学医学部附属病院 小児外科
役職:特任教授

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