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コラム -医療情報提供-

低侵襲な肺癌手術

 肺癌は癌の中で統計上最も死亡数の多い病気です。癌の治療には手術治療、抗癌剤による化学療法、放射線治療が行われますが、治癒が最も期待できるのは手術で病巣を全て取り除くことです。
 肺癌に対する手術はどのように行われるのでしょうか。現在一般的になっている胸腔鏡手術についてお話ししたいと思います。
 肺という臓器は、右は上葉、中葉、下葉の3つ、左は上葉、下葉の2つの肺葉に分かれます。現在、肺癌の標準手術は肺葉切除といって、癌が存在している葉を切除します。すなわち上葉にできた場合には上葉切除を行うことになります。
 以前は15㎝から20㎝の大きな創で行う開胸手術が一般的でしたが、現在では2-3cmの創3-4ヶ所で行う胸腔鏡手術が一般化しています。当院でも肺の手術の多くは胸腔鏡手術で行っています。
 胸腔鏡手術は胸の皮膚に小さな孔をあけ、そこから鉗子といわれる棒状の道具を入れてカメラ画像をモニタで見ながら胸の中の手術を行います。棒状の道具で手術をすることは難易度が上がり、少し時間がかかります。しかし、カメラで拡大した画像を大きな画面でみることが可能であるため、より精密な作業が可能となります。
 小さな創で手術を行うことでの患者さんにとって最も大きなメリットは術後の痛みです。開胸手術で行うと痛みが強くリハビリが遅れ、退院まで2週間近くかかっていました。しかし、胸腔鏡下手術では術後の痛みが少なく、少なくとも翌日には歩くことが可能です。また、精密な手術が可能であるためより安全に手術を行うことができ、出血などの合併症も少ない傾向にあります。そのため術後3,4日後には退院可能な状況になることも多いです。
 さらに最近では昨年よりダビンチという手術支援ロボット用いた胸腔鏡下手術も肺癌手術に適応が追加されました。ロボットを用いることでより精密な作業が可能となりました。また画面も3Dとなりさらに正確で安全に手術を行うことが可能となりました。これから手術数も増えていくと思われます。
 こういった低侵襲な手術を行うことで、早期に退院が可能で痛みも少なく、日常生活に与える影響を極力少なくすることが可能です。当院では胸腔鏡手術、ロボット支援手術ともに行うことが可能であり、開胸手術と同等以上の手術成績が得られています。


◎ 著者プロフィール
氏名:宮崎 涼平(ミヤザキ リョウヘイ)
所属:高知大学医学部附属病院 呼吸器外科
役職:助教

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