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コラム -医療情報提供-

変形性膝関節症の手術

 変形性膝関節症の治療の基本は、保存療法すなわち運動や薬による治療です。もし保存療法を3~6か月程度続けても症状が改善しなければ、手術が検討されます。変形性膝関節症の手術には、大きく分けて骨きり術と人工関節置換術の2つの方法があります。
 骨きり術は、40~60歳代の比較的活動性の高い若い方に行われることが多い手術です。O脚で内側の軟骨がすり減り痛みが長引く方に適しています。手術では、すねの骨の一部に切り込みをいれてO脚が改善するように変形を矯正し、金属製のプレートとスクリューで固定します。入院期間は3~4週間で、杖なしで歩けるようになり元通りの生活に戻るのに約3ヶ月間かかります。骨きり術のメリットは、ひざが深く曲げられるため和式の生活ができることや、重いものをもつ重労働や農作業、スポーツなど術後も活動的な生活を送れることです。
 人工関節置換術は、軟骨がすり減ってしまった膝関節を人工関節に置き換える手術です。軟骨がほとんどなくなってしまい、骨同士がぶつかって強い痛みが生じている重症例に行われます。入院期間は2~3週間で、元通りの生活に戻れるのは約2ヵ月後です。手術によって足はまっすぐになり、歩くときの痛みはかなり良くなります。骨きり術と異なり、ひざを曲げられる角度は120~130度程度に制限されるため、和式の生活は困難で椅子やベッドを使った洋式の生活をお勧めしています。軟骨のすり減りがひざの内側か外側のどちらか一方だけであれば、部分的な人工関節置換術を選択することも可能です。全部置き換える術式と比べて、傷跡は小さく、よく曲がり、術後の違和感も少ないといったメリットがあります。
 手術を受ければすぐに痛みがとれ、ひざがスムースに動くようになる、と思っている患者さんも多くいますが、手術はゴールではありません。いくら手術が成功しても、リハビリをしっかり行わなければ、痛みを克服し、満足のいくひざの動きは取り戻せません。傷口が痛いからといって安静にしていると筋力はどんどん低下し、骨はすかすかになって折れやすくなります。現在では、多少傷口に痛みがあっても、手術当日あるいは翌日からリハビリを開始するのが一般的です。リハビリとしては、筋力訓練、関節の屈伸運動、歩行訓練などを行います。


◎ 著者プロフィール
氏名:池内 昌彦 (イケウチ マサヒコ)
所属:高知大学医学部附属病院 整形外科
役職:教授

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