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コラム -医療情報提供-

口の中のがん

 口の中にできる「がん」は体全体の「がん」の1~2%とそれほど多くありませんが、附属病院歯科口腔外科には年間30人ぐらいの新しい患者さんが来られます。患者さんは60歳代が最も多く、次いで、70歳代が続き、性別は男性1.5:女性1の割合で男性に多いですが、ここ数年高知県では高齢の女性の患者さんが増加しています。
 口の中のがんができる場所で、最も多いのは舌(ぜつ)です。舌でもほとんどが横か裏側で、舌の表面や先に出来ることはほとんどありません。舌以外には、歯ぐきにもできますし、口の底(そこ)と書いて口底(こうてい)といいますが、舌と下の歯ぐきとの間の部分、さらには、ほっぺたの粘膜や上あごの粘膜にもできます。つまり、口の中のあらゆるところにできます。口の中のがんは粘膜の表面の細胞が癌化するので、口内炎のように粘膜の表面に潰瘍やびらんができます。また、表面が白くなったり、赤くなったりすることもあります。ただ、「口内炎」と「がん」との区別は難しいので、2週間経っても治らない口内炎は一度見てもらうことが大事です。
 「口の中のがん」の標準的な治療法は手術です。状況に応じて、放射線や抗がん剤を使ったりしますが、切除できるものは切除するというのが基本的な治療法です。以前に比べて、再建技術、つまり、切除した部分に体の他の部分から組織を持ってきて移植するという技術が進歩しましたので、大きな「がん」でも切除できるようになっています。やはり、進行した「がん」の場合は、舌や顎(あご)の骨を大きく切除しなければなりませんので、術後、食事や会話に多少なりとも障害がでてきます。しかし、術後早くから積極的にリハビリテーションを実施すれば、かなり回復しますので、手術から1か月程で退院できます。
 口の中 のがんの原因は、タバコやお酒、尖った虫歯などの機械的刺激や食べ物などの化学的刺激、さらには、ウイルスや老化などが言われています。したがって、「口の中のがん」を予防するためには、タバコを止め、お酒を控えること、さらには、虫歯や歯周病を放置せず、早めにちゃんと治すということ、適合の悪い入れ歯を使用せず、きちっと調整してもらうこと、それと、口の中をきれいにすることに尽きると思います。いずれにしても、日頃から、口の中の状態に気を配り、何かおかしいと思ったら放置せずに、専門の医療機関を受診するよう心がけてください。


◎ 著者プロフィール
氏名:山本 哲也 (ヤマモト テツヤ)
所属:高知大学医学部附属病院 歯科口腔外科
役職:教授

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