前のページに戻る

コラム -医療情報提供-

鉄欠乏性貧血といわれたら

 鉄欠乏性貧血はその病名の通り、体の中の鉄分が不足して、鉄分を必要とする赤血球が十分につくれない状態です。人体の鉄分の2/3は、赤血球で使われているので、鉄不足は最初に貧血としてあらわれます。
 貧血では一般に動機・息切れ・めまい・頭痛・疲れやすさがおきますが、高度の鉄欠乏性貧血ではベロが荒れたり、爪がそりかえったり、飲み込みにくくなったりすることもあります。
 赤血球のサイズが小さくなる小球性貧血が特徴で、血清鉄、鉄の貯金量を表すフェチリンは低下し、体の中の鉄分を探すトランスフェリン濃度は増加します。小球性貧血で血清鉄は低いのに、フェリチンが高いとか、トランスフェリンが低いときは、慢性の炎症など、鉄欠乏以外の原因が考えられます。
 鉄欠乏性貧血の多い原因は、胃・十二指腸や大腸から長く続く少しずつ続く出血と、女性ですと月経過多です。胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃癌、大腸ポリープや大腸がんがないか、子宮筋腫や子宮内膜症、あるいは子宮癌などの婦人科癌がないか調べてもらうとよいでしょう。
 鉄欠乏性貧血では、通常は内服による鉄の補充治療と共に、原因疾患の治療を行うことが重要です。最近の内服鉄剤は吸収がよく副作用も少なくなったのですが、人によっては、胃がもたれたりするなどの胃腸障害があらわれます。そのような時は、内服の鉄剤の種類を変えたり、飲み方を食間から食後にしたり、分割して飲んだり、あるいはお薬の量を減らしたりします。なお、鉄剤内服中は便の色が黒っぽくなりますが、これは吸収されなかった鉄分のせいですので心配ありません。
 鉄は体のエネルギーを生み出す成分であり、潤滑油でもありますから、鉄欠乏性貧血では出血など体の鉄分が少なくなった原因を調べて、鉄補充とともに原因疾患の治療をすることが大事です。
 鉄欠乏性貧血といわれたら、まずはお近くのかかりつけの一般内科、もしくは胃腸科の先生に相談してみてください。胃腸の検査、女性なら産婦人科を紹介してくれると思います。


◎ 著者プロフィール
氏名:小島 研介 (コジマ ケンスケ)
所属:高知大学医学部附属病院 血液内科
役職:教授

「コラム -医療情報提供-」に戻る


診療科目一覧に戻る ページの最初に戻る