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コラム -医療情報提供-

B型肝炎ウイルスについて

 B型肝炎ウイルスは、不完全な二本鎖環状DNAからなるウイルスで、遺伝子型によってさらに8種類に分類されます。名前の通り肝臓を攻撃し、急性および慢性、両方の肝炎を引き起こす可能性があります。
 B型肝炎ウイルスに免疫能が正常な成人が感染した場合、多くは症状が出る事はなく、一部の人で急性肝炎を発症します。重症例を除いて1ヶ月程度で回復しますが、免疫能が不十分な乳幼児や免疫能が落ちている人、治療で免疫抑制薬を使用している人では、キャリアと呼ばれる慢性感染の状態に移行する場合があります。特に3歳以下の乳幼児では、80%~90%がキャリアになると言われています。 キャリア化し慢性肝炎が生じると肝硬変や肝細胞癌の原因となるため、活動性が高いキャリアの人などで治療が行われます。しかし、B型肝炎ウイルスを完全に消失させることは難しいのが現状です。そのため、B型肝炎ウイルスは感染予防が重要です。
 B型肝炎ウイルスの感染経路は垂直感染といわれる母子感染と、水平感染があります。垂直感染の予防はB型肝炎に対する免疫グロブリンの投与とB型肝炎ワクチンの注射が1986年から開始されていますが、その結果母子感染はほとんど防げるようになっています。
 水平感染は、母子感染以外の感染経路になります。B型肝炎ウイルスは感染力が強く、血液以外の体液でも感染が生じると言われていて、過去には保育園の園児や先生による集団感染やキャリアの父親からの家庭内感染も報告されています。そのため、水平感染の予防を目的に2016年10月からB型肝炎ワクチンが定期の予防接種になりました。
 B型肝炎ワクチンの定期接種は0歳時を対象とし、生後2ヶ月から接種を開始し計3回接種します。日本で定期接種が開始されたのは最近ですが、WHOは1992年にすべての出生児にB型肝炎ワクチンを接種するよう推奨を出しています。現在、180カ国以上で接種されており、ワクチンの中でも最も安全なものの一つと考えられています。
 また、B型肝炎ウイルスの遺伝子型によっては大人の初感染でも約10%がキャリアに移行すると言われています。欧米で多く日本では殆どない遺伝子型でしたが、近年日本でも認められるようになってきており、注意が必要です。
 まずは、現在の定期接種を進めていき、将来的には19歳未満の小児や若年層、はては、全世代を対象としたユニバーサルワクチンになることが望まれます。


◎ 著者プロフィール
氏名:長尾 佳樹  (ナガオ ヨシキ) 
所属:高知大学医学部附属病院 小児科
役職:医員

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