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コラム -医療情報提供-

切迫早産“妊娠中に気をつけたい症状”

(切迫早産とは)
 37週未満で出生することを早産と言います。具体的には22週0日~36週6日に出産となる事を早産と定義しています。つまり、切迫早産とは早産になりかけている(赤ちゃんが生まれそうな兆候が現れている)状態のことを言います。
 早産には自然早産と人工早産がありますが、約75%は自然早産が占めています。人工早産とは医学的理由(たとえば、妊娠高血圧症候群などの母体の健康状態の悪化や赤ちゃんの健康状態が思わしくないなど)により妊娠継続が困難な場合に生じる早産を言います。この場では自然早産において注意が必要な項目についてお話したいと思います。
(早産だと何が心配なのか)
 早産の場合に赤ちゃんにとって大変なことはいくつかあります。1つ目は未熟性です。特に分娩週数が早い場合には臓器が未熟であるために頭蓋内出血や未熟児網膜症を起こすことがあります。また、肺や腸への負担も大きく、退院後も酸素が必要なお子さんもいます。脳性麻痺のリスクも上昇します。特に妊娠30週未満での分娩には注意が必要です。2つ目は感染に弱い点です。早い週数で生まれる赤ちゃんは体重も小さいですし、抵抗力が弱いため、感染症を起こしやすい状態にあります。
(切迫早産の原因)
 早産での出産経験がある、子宮頸管無力症(子宮の入り口を閉じておく力が元々弱いこと)、子宮頸部円錐切除術を受けたことがある方は注意が必要です。体のどこかに炎症が存在している状態もリスクとなり、妊婦さんの歯周病と早産の関係もクローズアップされています。妊娠中の歯科検診も推奨しています。子宮が大きいと子宮頸部がその大きさを支えるための負担が増えます。そのため、多胎妊娠や羊水過多(羊水が多い状態)もリスクとなります。最も多い原因には腟内の細菌環境が崩れることで、子宮頸部(子宮の入り口)に炎症を起こし、子宮収縮が促される結果、子宮頸管長の短縮を来すことがあげられます。子宮頸部のポリープも感染の原因となる場合には切迫早産のリスクになります。
(切迫早産における症状)
 子宮頸管無力症と言われている場合には、特別な症状がなくても子宮頸部が短くなり、子宮口が開いてきますので、予め子宮頸管を縛る手術(子宮頸管縫縮術)を行う必要があります。実際に切迫早産で認める症状には子宮収縮感が最も多いと思います。一時的な子宮収縮は認めることはありますが、頻度が多い場合には注意が必要です。特に初めての妊娠の方では自らが感じている子宮収縮に対して、妊娠中は当たり前に起こる症状だと誤解している方も少なからずいます。また、腟内の細菌バランスが崩れることで帯下が増量することも気をつけておきたい症状です。
(こんな時は医師に相談して)
 一番、注意してもらいたい症状は「子宮収縮感」です。妊娠の早い週数で頻回の子宮収縮をそのままにしておくことで赤ちゃんが早く生まれる兆候に繋がることを理解してもらいたいです。仕事中はお腹の症状は気にならないけれど、帰宅してからよく子宮収縮を感じるという方もいます。仕事中は仕事に意識が集中しているために、子宮収縮に気がつきにくい状況があると考えられます。また、仕事の内容はデスクワークが中心なので大丈夫だろうと思われる方もいますが、意外と座っている姿勢も長時間であれば、お腹に負担がかかっていることがあります。
 性器出血も注意してもらいたい症状の一つです。正常な妊娠経過であれば、出血はおよそ認めません。子宮口が開いてきているための症状である可能性があります。また、子宮内に血腫(出血した場所に血の塊が溜まっている状態)ができている場合には感染の原因にもなります。
 帯下が多い場合にも腟内の細菌バランスが崩れている場合があり、治療が必要となる場合があります。
 妊娠経過が順調であれば、妊娠6ヶ月頃までは妊婦健診は4週間毎に、それ以降でも2週間毎に行うことが一般的です。症状がある場合には次の健診まで待たずにその時点でかかりつけの産科医に相談するようにしてください。子宮収縮感における対応では安静が重要であるため、仕事をされている妊婦さんはその点も医師に相談してもらうのが良いと思います。


◎ 著者プロフィール
氏名:松島 幸生  (マツシマ サチオ)
所属:高知大学医学部附属病院 産科婦人科
役職:学内講師

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