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コラム -医療情報提供-

ピロリ菌除菌後の胃がん

 2019年がん統計予測では、胃がんは罹患数で第2位、死亡数で第3位を占め、がん対策においては、最重要がんの一つです。胃がんの最大の原因はヘリコバクター・ピロリ菌です。
 ピロリ菌は幼少時に胃粘膜に感染すると、長い時間をかけて炎症を起こし、胃の粘膜が薄くやせてしまう‘萎縮’やさらに進むと、胃の粘膜が腸の粘膜のようになる‘腸上皮化生’をきたし、胃がんの発生に深くかかわっています。そのため、ピロリ菌を出来るだけ早い時期に除菌することが重要です。
 2013年 2月、ピロリ菌感染胃炎に対する除菌治療の保険適応が拡大され、ピロリ菌感染者は保険診療で除菌治療を受けることができるようになりました。わが国の若年および壮年層でのピロリ菌感染者は年々減少し、ピロリ菌感染胃がんの頻度も減少してきています。一方、除菌治療に成功した既感染者の増加とともに除菌後胃がんの割合が増加し、発見胃がんの約1/3を除菌後胃がんの症例が占めています。
 2008年の臨床研究では、「早期胃がんに対する内視鏡治療後の患者さんにおいて除菌を行ったグループは非除菌グループに比較して、胃がんのリスクが約3分の1に抑制された」と報告され、除菌による胃がんの予防効果が認められました。ピロリ菌を除菌することによって背景胃粘膜の炎症が改善し、胃がんが発見しやすくなることがある一方、がんの表層を正常上皮が覆いかぶさり、発見や範囲診断が難しくなることがあります。
 国のがん検診指針が2016年4月に改正され、高知市では2017年10月から胃がん検診に胃内視鏡検診が加わりました。これは従来のX線(バリウム)検査に加えて、胃内視鏡検査のどちらかを選択できるようになりました。50歳以上の方が対象で検診回数は2年に1回となっています。胃内視鏡検診を希望される方は詳しくは市町村窓口、高知市在住の方は高知市役所健康増進課へお問い合わせください。
 除菌をしたらそれで終わりだ、もう胃がんが発生しないと思い込んでいる患者さんは少なくありません。除菌後胃がんの早期発見のためにも定期的な内視鏡検査や胃がん検診を継続し受けましょう。


◎ 著者プロフィール
氏名:羽柴 基(ハシバ モトイ)
所属:高知大学医学部附属病院 消化器内科
役職:医員

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