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コラム -医療情報提供-

腎腫瘍に対する凍結療法

 画像ガイド下凍結療法とは、体表に2,3mm程度の小さな針穴をあけ、そこからCTなどの画像を見ながら腫瘍に専用の細い針を刺し、腫瘍を冷凍凝固壊死させる治療です。画像ガイドにおこないますので正確で、安全に針を目標部位まで進めることができます。針を刺す皮膚の部分だけを麻酔する局所麻酔下で行われ、治療に伴う痛みが非常に少ない、体にやさしい治療です。腎臓から発生した 4cm 以下の比較的早期の小さな腎がんが対象となります。従来は、小径腎がんは手術で切除されてきましたが、平成23年7月より腎がんに対する凍結療法が保険適応となり、小径腎がん治療の選択肢が増えました。一度の凍結療法で再発はほとんど見られず、仮に再発しても、多くの場合再治療することにより根治にいたります。また正常の腎臓は温存されますので腎機能への影響が少なく、腎機能が悪い方でも治療が可能です。そのほか心肺機能が悪いなど何らかの理由で手術ができない方にも本治療は可能です。
 凍結治療には、針の先端部分を極低温にする凍結手術器を用います。針の直径は1.5mm程です。実際の治療方法ですが、まず患者さんにCT台の上に寝てもらいます。腎臓は体の背中側にありますので、うつ伏せになってもらって腰や背中から刺す場合が多いです。CTを撮像して病変の位置を把握して、皮下に局所麻酔をします。同時に点滴でも鎮痛、鎮静のための点滴を行います(意識はなくなりません)。そのあとCTを見ながら病変に凍結療法用の針を正確に進めていきます。病変の大きさに応じて、穿刺する針は2から4本程度です。その後10-15分凍結し、続いて5分程度解凍します。これを2-3回繰り返したのち針を抜去します。この間特に冷たさを感じることもなく、痛みもほとんどありません。最後に治療範囲は充分か、出血などの問題がないかなどを確認して終了します。治療時間は、腫瘍の位置や刺す針の本数などで異なりますが、全部で1時間半~2時間半程度です。治療した翌日までには食事をとったり、歩いたりすることができます。当院では通常、凍結療法後1週間程度で退院となります。
 治療後は軽度の発熱がみられることがあります。また、多くの場合血尿がみられますが、 徐々に消えていきます。まれに針を刺したところから出血することがありますが、そのような場合は状況に応じて対応していきます。また、腸に穴があく(消化管穿孔)、尿管損傷などがまれにおこることがありますが、当院では経験豊富な医師が治療を行っており、これらの合併症はこれまでおこっていません。
 凍結療法により壊死した病変は、すぐに消えてなくなるわけではなく、半年から1年以上かけて徐々に小さくなっていきます。退院後は、定期的に来院していただき、血液検査、CT や MRI などを行い、経過をみていきます。


◎ 著者プロフィール
氏名:山上 卓士(ヤマガミ タクジ)
所属:高知大学医学部附属病院 放射線科
役職:教授

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