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コラム -医療情報提供-

認知症と自動車運転対策

認知症と自動車運転に関する現状と社会的問題

 高齢社会を迎え、高齢者と自動車運転の問題、特に認知症と自動車運転の問題は社会的にも問題となっています。2017年3月12日から75歳以上の高齢ドライバーは、認知機能検査という認知症の簡易検査を3年ごとの免許更新時に加え、特定の交通違反(18個の基準行為)を起こすと受けるようになりました。その検査結果により、認知症が疑われると医師の診断を受けることが義務化されています。

高齢者人口と認知機能検査

 2018年において、全国の免許保有者は8,231万人であり、65歳以上のドライバーはすでに1800万人を超えています。前述の「認知機能検査」は、公安委員会(警察)又は委託された教習所等で受けることができます。判定はその点数に応じて、第一分類:記憶力・判断力が低くなっている(認知症のおそれがある)、第二分類:記憶力・判断力が少し低くなっている(認知機能の低下のおそれがある)、第三分類:記憶力・判断力に心配がない(認知機能の低下のおそれがない)に分けられ、第一分類の場合は医師の診断書を提出することになります。

問題の所在

 高知県のような中山間地域や地方都市で生活する高齢者にとって、自動車は生活必需品であり通院や買い物、墓参りなど日常生活に欠かせない存在です。高知大学精神科の調査研究では、認知症の人が運転免許返納を拒否しがちな理由に、運転が生活にかかせなかったり、孫の送り迎えや家族の役に立ちたいといった、人が人として協働していく手段であったり、役割意識という意味があることがわかりました。
 このような状況に対し免許の自主返納制度が開始されました。これは運転に不安を感じている高齢ドライバーの方等に対して、自主的に運転免許を返納しやすい環境づくりを行い、また、その御家族や地域で高齢者の運転について考える機会をつくることで、高齢ドライバーの交通事故を防止することを目的とした制度で、返納者が申請すれば顔写真付きの「運転経歴証明書」が発行され、本人確認の身分証として有効となります。また自治体によっては運転免許を自主的に返納して運転経歴証明書の交付を受けた高齢者の方に対し、商品の割引などの特典やサービスが提供され、生活支援が受けられることもあります。

メッセージ

 現在、高知大学医学部では高知工科大学と認知症の運転能力評価方法を共同開発中です。今後も高齢者に優しい社会つくりを目指していきたいと考えています。


◎ 著者プロフィール
氏名:上村 直人(カミムラ ナオト)
所属:高知大学医学部附属病院 精神科
役職:講師

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