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コラム -医療情報提供-

前立腺がんの治療(ロボット支援手術および県内唯一の小線源治療)

 現在、本邦においては、一生の間に9人に1人が前立腺がんにかかると言われています。しかしながら、前立腺がんは、適切な時期に適切な治療を行うことで治る病気です。そして、近年、その治療法は、より低侵襲になっています。

 ロボット支援手術とは、術者が直接患者さんに触れることなく、ロボットを操作して行う手術です。決して、ロボットが勝手に手術を行う訳ではありません。現在、日本では、ダビンチという手術支援ロボットが臨床で使用されています。患者さんのお腹に約1cmの穴を6か所あけて、3本のロボットアームと1本の内視鏡を挿入します。残りの2か所の穴は、助手が使用します。術者は、操作台に座り、内視鏡画像を見ながら遠隔操作でロボットアームの先端の鉗子を動かして、手術操作を行います。傷が小さく、合併症のリスクも少なく、術後の回復が早く、入院期間が短く、早期の社会復帰が可能です。高知大学では、2012年10月29日から前立腺がんに対するロボット支援手術を開始しており、2020年9月までに500人以上の患者さんに治療を行っています。

 小線源治療とは、体の中から放射線をあてて、癌細胞を死滅させる治療法です。小線源治療には、放射線を発する小線源を一時的に前立腺内に挿入して治療する「高線量率組織内照射」と、小線源を永久に前立腺内に埋め込む「永久留置」の2つの方法があります。手法は、どちらもほぼ同じで、会陰部に細い針を刺し、超音波画像で位置を確認しながら、その針を通して小線源を前立腺に挿入します。「高線量率組織内照射」では、針を刺したまま照射を行います。「永久留置」では、小線源の入ったカプセルを約60~100個、前立腺に留置します。どちらも治療は一日で終わります。どちらの治療を行うかは、患者さんの癌の状態によって決まります。高知大学は、これら両方の治療を受けることができる日本で数少ない施設の1つです。特に、高知大学では、高線量率組織内照射に力を入れており、これまでに500人以上の患者さんに治療を行っています。永久留置の場合、小線源を体内に埋め込むため、被ばくのおそれがありますが、1メートル離れれば、ほとんど周囲への影響はないと言われています。放射線治療の副作用としては、治療直後から3~6か月ごろまでに、頻尿、排尿時痛、血尿、下痢、肛門痛、血便などがみられることがあります。また、6か月から1年以降に、血尿、血便、尿道狭窄、性機能障害などを発症することがあります。


◎ 著者プロフィール
氏名:蘆田 真吾(アシダ シンゴ)
所属:高知大学医学部附属病院 泌尿器科
役職:病院准教授

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