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コラム -医療情報提供-

眼科と病理で見つかる病気(脳腫瘍、新型コロナウイルス感染症等)

 病理診断とは、病気がなぜ起こるのか、病気のしくみを調べることです。具体的には、手術などで取り出された癌などの組織を顕微鏡で調べ、悪性度や、切除した組織の端っこに癌細胞が残っていないか、また、一緒に取り除かれたリンパ節に転移がないか、というようなことを明らかにします。つまり、癌などの病気の性質を診断することが病理診断です。
 一方、眼科で観察する眼は、人間の体の中で唯一、血管や神経を直接見ることが出来る部位です。眼底という目の奥をみることにより、目の病気だけでなく、高血圧、糖尿病などの全身的な病気が見つかることもあります。また、時には、眼底検査で認められる「うっ血乳頭」という所見により、脳腫瘍、つまり頭の中の癌が見つかることもあります。そして、脳腫瘍にも色んな種類があるのですが、病理診断科では、手術で取り除かれた癌の組織に、特殊な免疫染色などをして、顕微鏡で観察し、その腫瘍が、脳の中でもどの組織から発症した腫瘍で、悪性度はどのくらいか、手術の後にどんなお薬が効果を示すのか、などを調べて、診断だけではなく、治療の大きな助けともなります。
 今年、大問題となっている新型コロナウイルスは口や鼻を含む、体の粘膜から感染します。目の白目の部分の「結膜」も粘膜ですので、そこから感染する可能性もあり、新型コロナウイルスによる結膜炎は、感染者の数%に発症するとされています。症状は、充血や異物感、流涙、眼脂などですが、これは新型コロナウイルス以外のウイルスによる結膜炎や、一般的なばい菌による細菌性結膜炎、または、アレルギーで起こるアレルギー性結膜炎の症状とも大きな変わりありません。眼科医が目で見ただけでは判断が難しいこともあり、現在、よく耳にされるPCRと呼ばれる病理学的な検査で、涙の中のウイルスを調べなければ確定診断が出来ません。
 新型コロナウイルス感染症に関して、何よりも大切なのは予防です。これは、新型コロナウイルスに限ったことではなく、全てのウイルスや細菌感染にも言えることですが、自分への感染を防ぎ他の人に感染させない為に、十分な手洗いと消毒、鼻や喉からのウイルス侵入を防ぐ為にマスクを着用します。そして、自分の手で首より上の部分を触らないように注意することが、全ての感染症から身を守る為に大切なことと言えます。


◎ 著者プロフィール
氏名:山本 由美子(ヤマモト ユミコ)
所属:高知大学医学部附属病院 病理診断科
役職:客員講師

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