前のページに戻る

コラム -医療情報提供-

フレイルのリハビリテーション

 フレイル(Frailty) とは、高齢期に生理的予備能が低下することでストレスに対する脆弱性が亢進し、生活機能障害、要介護状態、死亡などの転帰に陥りやすい状態で、筋力の低下により動作の俊敏性が失われて転倒しやすくなるような身体的問題のみならず、認知機能障害やうつなどの精神・心理的問題、独居や経済的困窮などの社会的問題を含む概念です。

 75歳以上の高齢者の集団では、20~30%がフレイルであると報告され、その割合は高齢化するにしたがって高くなっていきます。フレイルの診断法は種々報告されており、そのスクリーニングツールとして簡便なものとして、簡易フレイルインデックスがあります。これは、5つの質問からなり、運動能力評価は不要で、医療者でなくてもだれでも使用できることから、日常の中で活用しやすいものです。

 フレイルの原因となる要因として、完全には解明されていませんが、サルコペニア(筋量の低下)、骨量減少、原因不明(主に加齢)のバランス障害、栄養障害(栄養摂取が効率的にできなくなること)などが挙げられます。その中で重要なものは、サルコペニアと栄養障害とされています。サルコペニアの予防には活動する時間の増加が重要であり、健康な人は日常的な運動習慣の確立をめざし、フレイルや病気がちの人は、病院や介護施設での運動、つまりリハビリテーションを行うということになります。過去のフレイルに対するリハビリテーションの効果に関する報告では、①筋力トレーニングは積極的に取り入れるべき ②一回の介入時間:60分 ③介入頻度:2~3回/週 ④介入期間:12週間以上 ということが推奨されています。

 もう一つ重要なのが栄養障害への対策です。高齢になるにつれて、食事量が減少し、特にたんぱく質の摂取が不十分であることが指摘されています。国際スポーツ栄養学会は2017年に、「高齢者は運動直後1時間以内に10~20gの タンパク質を摂取すべきである。さらに、タンパク質の質に考慮すべきである」という声明を発表しました。国立長寿医療研究センターの研究では、栄養素の増加量とサルコペニアの減少率について報告しています。エネルギーを余分に100kcal摂取した場合は3.9%、タンパク質 10gでは 6.8%の減少ですが、BCAAではそれ以上(バリン1gで11.8%,ロイシン1gで 8.2%,イソロイシン1gで13.1%)のサルコペニアが減少、つまり筋肉の量が維持されるということになります。

 フレイルの予防には、運動と栄養の組み合わせが重要であり、今後の生活に取り入れていただきたいと思います。
※BCAA(運動時の筋肉でエネルギー源となる必須アミノ酸であるバリン、ロイシン、イソロイシンの総称)


◎ 著者プロフィール
氏名:永野 靖典(ナガノ ヤスノリ)
所属:高知大学医学部附属病院 リハビリテーション部 
役職:助教

「コラム -医療情報提供-」に戻る


診療科目一覧に戻る ページの最初に戻る