前のページに戻る

コラム -医療情報提供-

風邪に抗生物質は効きません

 「今朝から熱っぽくてかぜみたいです。いつもの抗生物質下さい。」と、患者さんから時々この様に言われることがありますが、この症状からは風邪とは言えません。例えば、頭が痛い、鼻水が出る、喉が痛い、咳が出る、食欲がない、お腹の調子が悪い、節々が痛い、体がだるい、熱が出る、の9つの症状のうち、風邪の症状は3つしかありません。風邪の正式な病名は、急性上気道炎と言います。急性と言う言葉は、急に症状が出て短期間に治る病気に対して使います。実際、風邪はだいたい2~3日で治ります。

 次の上気道と言う言葉がポイントで、上から、鼻、喉、そして喉頭までが上気道です。風邪の病名は、急性上気道炎ですので、上気道である鼻と喉と喉頭の病気です。つまり、鼻の症状である「鼻水がでる」と喉の症状である「喉が痛い」と、喉頭の症状である「咳が出る」、この3つが風邪の症状になります。頭が痛いとか、体がだるいとか、熱が出るは風邪ではありません。また、多くの場合、まず喉が痛くなり、その後に鼻水が出はじめ、最後に咳が出て咳がしばらく続く、というような経過をとります。

 風邪には抗生物質は効きません、。風邪の原因はウイルスです。抗生物質が効くのは細菌で、ウイルスには効果がありません。ですので、抗生物質を飲んでも、症状が良くなることもありませんし、早く治る事もありません。また、風邪をこじらせた場合に、蓄膿や中耳炎になる事がありますが、抗生物質を飲んでもこれらを予防する効果はないと言われています。さらに、抗生物質を飲むと、副作用で下痢になる事があります。

 風邪は、多くの場合自然に治ります。そのため、必ずお薬を飲まないといけないという事はありませんし、お薬を飲んでも早く治る事はありません。もし、鼻水や喉の痛みや咳でしんどい場合は、鼻水を止めるお薬や、痛み止めや、咳止めを、症状に合わせて飲んでもいいと思います。ただ、鼻水を止めるお薬は、副作用で眠くなりますので、注意が必要です。特に、高齢者ではふらついて転んでしまう事があります。

 今、新型コロナウイルス感染症の予防のために、いろいろ気を付けていると思いますが、その対策は、同時に風邪の予防になります。具体的には、人との距離をとる、会話をする時はマスクを付ける、手を洗うなどです。もちろん、十分な睡眠をとる事も重要です。


◎ 著者プロフィール
氏名:武内 世生(タケウチ セイショウ)
所属:高知大学医学部附属病院 総合診療部
役職:准教授

「コラム -医療情報提供-」に戻る


診療科目一覧に戻る ページの最初に戻る