拠点プロジェクト「黒潮圏科学に基づく総合的海洋管理研究拠点」

拠点プロジェクトとは

「高知大学拠点プロジェクト」は,本学の研究機能を一層充実・強化し,学術研究の水準向上・強化につながる重点的研究領域,地域の要請の強い研究領域に特化した研究を進展することを目的としたものです。大学の特色を踏まえた将来計画と強い実行力により,大学全体の活性化に繋がり,事業が終了した後も発展的な研究活動が期待できるものとされています。高知大学の第3期中期計画期間である2016年度から2021年度まで実施される予定です。

背景

1994年11月の国連海洋法条約の発効により,海のあらゆる資源とスペースの利用と開発,それと表裏一体となった環境保全についての包括的な法秩序が確立しました。すなわち条約は,国家間の権利・義務関係を明確に規定することを通して,海洋資源の本格的な開発に道を開くとともに,海洋環境保全に対して国家が明確に責任を負うことを求めています。言いかえれば,EEZの画定とそれによって可能になる海洋資源の開発の担保として、条約は海洋環境の保全を求めており,各国で海洋の総合的管理が推進されることになりました。わが国でも2007年の海洋基本法制定を受け,2008年には海洋基本計画が閣議決定され海洋政策の枠組みが整えられました。そこでは,海洋資源開発や人材育成に加え「総合的海洋管理」が目標とされています。それ以降,2013年の新計画に基づき政府の総合海洋政策本部において複数のプロジェクトチームによる議論が進められていますが,生物・生態系や環境等に関する現状把握や対策構築は十分に進捗していないのが現状です。

目的

本拠点の目的は,社会へ実装可能な総合的海洋管理の適切なあり方を提案することです。適切な管理のためには,その基本である"Plan - Do - Check - Act",すなわちPDCAサイクルを継続的に回すことが必要不可欠です。しかしながら,現状をを海洋管理という視点から見ると,多くの場合以下のようにPDCAサイクルがうまく回っていない事例が少なくありません。(図1)。

  • 人間社会は様々な資源を利用することにより自然から恩恵を受け,急激な発展を遂げてきた。
  • またその一方で、環境の保全が重要であることも十分に認識されており、必要に応じた対策が講じられてきた。
  • わが国でも個別の案件についてはある程度緻密な管理が行なわれてきたが、しばしば総合的管理の視点が欠落し、資源利用による環境劣化に歯止めがかからないケースのあることが指摘されている。

「総合的海洋管理」の究極の目標のひとつは「資源の持続可能な利用」にあります。資源利用と環境保全の調和のとれた管理を進めることにより、環境劣化を最小限に抑制できるものと期待されます。さらに持続性を高めるためには,海を知り,賢く使い,適切に護るというサイクルを繰り返すことが必要不可欠です(図2)。

そこで本拠点では,

  1. フィールドワークに基づく沿岸域の総合的管理
  2. 次世代型養殖による持続的食糧生産の実現
  3. 環境保全との並立が可能な海底資源掘削
  4. などを題材に各分野の専門的な研究の推進を図るとともに,これらの個別的管理を越えて
  5. 法律学・経済学,及びその応用としての政策学の観点から海洋利用とその管理に関わる制度のあり方
  6. についても総合的に検討する計画です。

これらは、それぞれ自然科学と社会科学が連携して攻究していく予定です。