研究内容 − 古地球磁場強度測定法の開発・改良

絶対古地磁気強度の測定法には大きく分けて「テリエ法」と「ショー法」の2つのタイプの方法がありますが,私たちの研究グループは主に後者を改良・発展させた「低温消磁2回加熱ショー法」(Tsunakawa and Shaw, 1994; Yamamoto et al., 2003)という方法を用いています.火山岩に対しては,テリエ法よりも信頼性が高いと考えているからです.

しかし,これまでの研究の結果,「低温消磁2回加熱ショー法」の適用は過去数百万年程度よりも地質年代の古い火山岩試料には向かないことが多いことが分かってきました.テリエ法と同様に,この方法では試料全体を実験室内で通常加熱しますが,多くの場合で岩石磁気特性が大きく変化してしまい,実質的に試料が使い物にならなくなってしまうのです.この問題点を解決する切り札として「マイクロ波励起法」があります.特定の周波数に調節することにより,試料全体を加熱することなしに磁化のみに影響を与えて着磁・消磁することが可能であり,理想的には試料全体としての岩石磁気特性がほぼ不変のまま保たれることになります.

絶対古地磁気強度測定に「マイクロ波励起法」を利用することについては,1990年代以降,世界で唯一,イギリス・リバプール大学の Prof. John Shaw と Dr. Mimi Hill のグループにより精力的に研究が進められてきました.このグループは「マイクロ波励起テリエ法」を開発し,精力的にその適用を行っています.現在,私は Dr. Hill と協力しながら,「マイクロ波励起法」を「低温消磁2回加熱ショー法」に取り込むための基礎研究と装置開発に取り組んでいます.


[開発中の装置(2010年10月現在)]