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海洋コア総合研究センター 外部評価

 センターでは,この度,外部有識者による「外部評価」を実施しました.神奈川県立生命の星・地球博物館の斎藤靖二館長,東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻の浦辺徹郎教授,産業技術総合研究所地質情報研究部門地球変動史研究グループの山崎俊嗣グループ長の外部有識者 3氏に評価を依頼し,2日間に亘り実施しました.

 センター長による概要説明及び教員によるセンターでの活動状況報告等の後,管理運営体制や全国共同利用等センターの業務全般,さらに,平成22年度からの共同利用・共同研究拠点の認定に向けての助言,関係者との質疑応答等が行われました.

 外部評価結果には,センターの位置づけ等多岐にわたり貴重な提言が盛り込まれており,今後の組織運営にあたり,できる限り反映させていきたいと考えています.

■ 外部評価実施日:平成20年12月9日(火)〜12月10日(水)

外部評価報告書PDF(平成21年3月発行)

 

外部評価委員会による評価とコメント

■外部評価委員としての立場について

・我々3名は専門も履歴も異なるが,いずれも地球科学研究コミュニティーに属し,高知大学海洋コア総合研究センターと利害関係を持たない者である.その上で,同センターの外部評価を実施したが,センター側が用意された評価記入用紙とは異なった書式で評価を行うこととした.これは,来年度あらたに見直される全国共同利用・共同研究施設への認定申請に当たり,最も必要なことは同センターのガバナンスとマネージメントのあり方を見直すことにあるとの結論に達したからである.
・我々は実現不可能なこと,対応が事実上難しいことを述べることは避けたい.また諮問された以上のことを指摘するつもりもない.しかし,高知大学のあり方そのものが問われていることから,大学全体に関する意見も述べさせて頂いた.この提言が同センターの枠を越えて,大学内での意志決定に反映されることを願っている.

■海洋コア総合研究センターのあり方について

・海洋コア総合研究センターは,学内共同教育研究施設であった海洋コア研究センターを平成15年4月全国共同利用施設に改組・拡充したものである.運営に当たっては(独)海洋研究開発機構との共同運営を行っており,それが持つ資源を共用するという我が国で唯一の運営形態を持っている.
・ここは四国にある唯一の全国共同利用施設であるばかりでなく,IODP(統合国際深海掘削計画)を通じて世界の研究者コミュニティーにつながっているという大きな特徴を持っている.DSDP,ODPレガシーコアの受け入れなどを通じて,世界における3つの海洋コア受け入れ・研究施設の一角を担う重要な拠点となっている.
・このように外部から見ると,当センターには他の大学にはない多くの“強み”がある.しかし,高知大学の中期計画(平成16−21年度)の中での位置づけとして,「総合研究センター海洋部門の一翼として学内共同研究を主導」,とされているのみなのはまことに残念と言わざるを得ない.学術研究面において当センターが重要な責務を果たしていることを,大学として内外にさらにアピールする必要があろう.
・また,高知大学の学内組織である他の5つのセンターと同列に位置づけられており,「センター連絡調整会議」を通して,間接的に学長への意志疎通が行われているように思える.次期中期計画の策定に当たっては研究担当理事の下でヒアリングをやっているものの,次期中期計画の中での海洋コア総合研究センターの位置づけに変化は無いとのことであった.
・高知大学として,全国共同利用・共同研究施設のガバナンスとマネージメントについてどのように意志決定を行っているのか,配布された高知大学の組織図では判断できなかった.今回の外部評価委員会は大学本部そのものに対する意見を申し上げる立場にはなく,軽々に意見を申し上げることは差し控えるべきであるが,これは高知大学にとってユニークな強みを活かさないことにつながり,大きな損失であるように思われる.
・平成21年度の文部科学省への共同利用・共同研究機関としての認定申請に当たって最も必要なスタンスは,大学として全面的な支援体制を取っていることを示すことである.これは高知大学にとってもレゾンデトールを示す最良の機会になるものであるので,その線に沿った学内調整が図られるべきでないか.大学がどのようなガバナンスの努力をしているのかを,逆に問われるので,最初から全力を挙げて対処すべきでないか.
・これまでさんざん説明してこられたこととは思われるが,再度,センターの意志を大学に伝える努力をなされることが,国内外の研究コミュニティーの支持に答える最良の方策と思われる.

■共同利用施設の運用について

・全国から寄せられる共同利用申請については2機関の共同運営協議会の下に設置された「全国共同利用委員会」において審議されている.その委員は高知大学3名,海洋研究開発機構3名,および日本掘削科学コンソーシアム(J-DESC)からの推薦を受けて選出された外部委員3名より構成されており,透明な審議が行われている.また,公募申請の随時受付を行うなど,外部コミュニティーの要望を取り入れている.
・広義の地球科学部門を持つほとんどの大学・研究施設が加入するJ-DESCとの協力は,IODP After Cruise Workへの対応,大学院生や若手研究者向けのコアスクールの共催などでも見ることができ,研究コミュニティーの意見を最大限取り入れている.
・ここでは共同利用施設内の機器名をそれぞれ挙げることはしないが,いずれも適切に管理運営されており,使用頻度も極めて高いものが多い.その意味で,共同利用施設としての機能はよく果たされている.
・公募研究の件数についてはほぼ飽和に達し若干の増加に留まっているが,実際に施設を見学してみると,多くの機器について活発に利用されており,学生や院生が数多く働いていて,発足後5年を経て運用が順調に進展しているのが伺える.
・それらの施設機器の多くは高知大学の備品とのことで,更新についても考えなければならない.それらの予算が共同利用施設としての新たな枠組みの中で適切に処置されることが全国のユーザーの希望であろう.
・JAMSTECと共同運営していることから,高知コアセンターは我が国の研究施設としては飛び抜けて多いテクニシャンが働いている.ただし,大学としてはこれらの共同利用を実施していく上で非常勤の技術補佐員に依存しており,より高度なことを負担してもらうために,常勤のポジションが必要である.