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“ Pentastoma 舌形(五口)動物”(したがた・ごくち)*ギリシャ語の“pente=5”と“stoma=口”
*現在は節足動物門甲殻亜門顎脚綱(Class Maxillopoda)に含められる

分布・生息域 すべて内部寄生性で,脊椎動物のうち爬虫類と鳥類,哺乳類が終宿主 
体サイズ 2〜16 cm *100種が知られる


おもな特徴
1.左右相称で,扁平な蠕虫型の体は短い頭胸部と長い胴節からなる
2.口の周辺に2対の脚または鉤爪(hook)をもつ
3.体表はキチン質のクチクラ層で覆われ,環状筋と縦走筋をもち(筋肉繊維は横紋筋),脱皮する
4.頭部の腹面に神経節が集合し,各“脚”に対応した神経と胴部に1本の腹神経索をもつ
5.消化管は直走し,体の後端に肛門がある
6.広い血体腔をもち,偽体腔が発達する(静水力学的骨格となる)
7.排出系,循環系や呼吸器系はない
8.雌雄異体で,交尾により体内受精する
9.3つの幼生期をもつ
10. 脊椎動物の呼吸器系に寄生し,宿主の血液を栄養とする

系統
 以前は独立門とされたが,近年の分子系統解析や精子の微細構造,幼生の形態から, 甲殻類の鰓尾類(魚類へ外部寄生するチョウ類)に近縁と考えられている.魚に外部寄生していた祖先から,魚食性の爬虫類へ内部寄生するようになったのかもしれない.


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