柏島周辺の魚 小さな写真はクリックすると大きくなります.更新日 2001/09/11

 こちらにも写真があります(研究室のページ):たくさん写真をアップしました.


タテジマキンチャクダイ Pomacanthus imperator (スズキ目キンチャクダイ科)全長約20cm.

 本種はキンチャクダイ科の中でも,とくに鮮やかな縦縞の模様をもっています.魚の縞模様は,頭を上に,尾鰭を下にした場合の「タテ」と「ヨコ」なので,通常の見方とは逆になります.この種の場合も,和名は「タテジマ...」で良いわけです.この科の幼魚や若魚は,いずれの種でも親とは異なった斑紋のパターンをもち(本種の全長約5cmの個体1全長約8cmの個体2全長約8cmの個体3),成長と共に写真のような成魚の斑紋パターンに変わっていきます. この成魚の体側真ん中に見える黒い棒状のものは,おそらく甲殻類の外部寄生虫のイカリムシ類です.成魚は1999年8月にビロウ島の水深10mで撮影.若魚は1999年から2001年にかけて柏島周辺で撮影.水深8〜15m.


マツカサウオ Monocentris japonica (キンメダイ目マツカサウオ科) まさに松ぼっくりのような頑丈な鱗のよろいをまとっています.可動部分は尾鰭とその付け根あたり(尾柄部)だけなので,俊敏に泳げません.背鰭前方の棘は強大で,これらを前方に立てると左右に互い違いに傾き,根元が完全にロックします.また,一対ある腹鰭の棘も強大で,これも左右に張りだした位置でロックします.このような棘のロック機構は,岩のすき間に逃げ込んだ際に,その中で体を固定してしまう,もしくは捕食者に食べられないためのものでしょう(咽を通りそうにないですから).下顎の先端部には発光器をもっています.写真の個体は7〜8cmぐらいの大きさです.2000年11月に一切小島の水深10mの洞窟内で撮影.高知県西部の底引き網漁業では,大型の個体が,よく漁獲される.美味.
イロイザリウオ Antennarius pictus (アンコウ目イザリウオ科) オレンジ色の小さな個体もおそらく同種.ペアかどうかはわかりません.小さな個体も,水中ではライトで照らさなければ,すぐには気が付かないほどです.1999年8月にビロウ島で撮影.水深約25m.イロイザリウオには様々な体色の変異が見られます.(1:黒色の若魚個体2:どっちを向いているでしょうか?3:カイメンにそっくり
クマドリイザリウオ Antennarius maculatus (アンコウ目イザリウオ科) 白い部分は,岩のところどころに付着しているカキ殻の内面の白色にマッチしているようです.赤みがかった部分は,付着物の付いた背景の岩肌にそっくりです.これもすばらしい擬態です.1999年8月に後浜で撮影.水深約15m.クマドリイザリウオにも体色変異が見られます黒色個体).
ピグミーシーホース  2000年8月に高知県大月町柏島後浜の水深27mで撮影したタツノオトシゴの仲間です.1.5〜2cm程の大きさなので,赤いヤギの中をライトで照らしながら,虫眼鏡で探さないと見つけるのは困難です.この2年程でダイバーに良く知られる存在となりました.しかし,学術的には日本から報告されておらず,まだ標準和名が付いていません.ニューカレドニアやニューギニア近海に分布する Hippocampus bargibanti に似ていますが,同種かどうかは詳しく調べる必要があります.


アゴアマダイ属の一種 Opistognathus sp. (スズキ目アゴアマダイ科) まだ学名の付いていない未記載種.アゴアマダイ科魚類は,詳細な分類学的研究が必要なグループです.2000年8月に後浜で撮影.水深約20m.

クダゴンベ Oxycirrhites typus (スズキ目ゴンベ科) 赤の格子模様も水深20〜30mでは青黒く見えるので,薄暗いヤギの中では保護色になって目立ちません.背鰭棘条の先端に房状の皮弁があることがゴンベ科の特徴.2000年8月に後浜で撮影.水深約25m.

オシャレハナダイ Plectranthias pelicieri (スズキ目ハタ科) ゴンベ科のように石の間をちょこちょこ動き回るので,ハタ科らしくないハタです.鰓蓋部に黄色のリング状の模様が特徴.勤崎では水深45m付近にいるが,ここは水深約30m.これまでに確認された生息水深では,最も浅いようです.2001年6月に勤崎近くで撮影.

コブダイ Semicossyphus reticulatus (スズキ目ベラ科)  好奇心が強いようで,いつのまにか傍らに現れ,泳ぎ去って行きました.成長した雄の個体は前頭部と下顎がこぶ状に盛り上がる.顔は相当に貫禄あり.2001年6月に勤崎近くで撮影.水深約20m.

カサゴ Sebastiscus marmoratus  (カサゴ目フサカサゴ科) 共に全長30cm程の個体が,テーブルサンゴの下で激しく闘っていました.かぶりつきで15分程見ていましたが,私のことは眼中になかったようです.2000年4月に勤崎で撮影.水深 8 m.

ホタテツノハゼ Flabelligobius sp. (スズキ目ハゼ科) これも学名が付いていない未記載種です.和名のホタテは,帆を立てたような大きな第一背鰭から,ツノは前鼻孔が管状で目立つところに由来するようです.2000年8月に勤崎で撮影.水深約30m.

ヤシャハゼ Stonogobiops sp. (スズキ目ハゼ科) これもまだ未記載種で,横に見えるのは共生しているテッポウエビの一種(Alpheus randalli 和名なし)です.もう1枚,穴から出たところです.2001年6月に後浜で撮影.水深28m.

セイテンビラメ Asterorhombus intermedius (カレイ目ダルマガレイ科) 背鰭の最初の軟条(両眼の前方中央)は,長く伸び,これを指揮棒のように3拍子で振りながら餌生物に近付くことが知られている.近縁種のタイコウボウダルマは,この第1軟条の先端にエビに似せた被弁のルアーを持っている.全長15cm程の個体.1999年8月に勤崎で撮影.水深14m.
トゲダルマガレイ Bothus pantherinus  (カレイ目ダルマガレイ科) 全長25cm程のメス個体の顔.オスは両眼の間がもっと広く,胸鰭が長いのが特徴.同一個体の全体像はこちらです.2000年8月に一切小島で撮影.水深 10 m.

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