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グリーンランド周辺海域の漁業資源調査


 グリーンランド西岸にあるヌーク(北緯64度)の港.グリーンランド自治州(デンマーク領)の首都.

 1987年から1996年にかけて,海洋生物学研究室の院生・学生は,北大西洋のグリーンランド周辺海域で行われた漁業資源量調査に補助調査員として参加しました.この調査は,デンマークのグリーンランド水産研究所と海洋水産資源開発センターとが共同で行ったものです.船は日本のトロール調査船「深海丸」(約3,600トン)を用船しました.


 ヌーク港に停泊中の深海丸.

 私(遠藤)は,高知大学(修士課程1年)と北海道大学(博士課程2年)の大学院時代の1988年6月始めから10月半ば(約4ヶ月半),1991年7月末から9月始め(約1ヶ月),1991年11月半ばから12月始め(約3週間)の3回,高知大学理学部へ着任後の1996年7月末から9月始め(約1ヶ月)の計4回補助調査員として乗船し,7ヶ月程深海丸で生活したことになります.そもそもこの調査で,高知大学理学部海洋生物学研究室と北海道大学水産学部水産動物学講座が協力して標本を集め,この水域の図鑑を作る計画でした.そのため双方の研究室から毎年数名の大学院生や学生がこの調査に参加し,かなりの標本を集めました.調査が始まってから8年間の標本の蓄積をもとに,1995年に下記の図鑑が出版されています(★).私はこの中でタラ科13種の解説を担当しました.


 深海丸のトロール調査で採集されたニシオンデンザメ.深海丸の甲板上で撮影.

 もともと大学院時代にタラ目魚類の系統類縁関係について研究していたので,自分自身の研究材料もかなり集め,貴重な経験もたくさんして,しかもアルバイト代も入り,一石三鳥ぐらいでしょうか.大学院生時代にこのような調査に何度も参加できたことは,運が良かったと思っています.

★「グリーンランド海域の水族 深海丸により採集された魚類・頭足類・甲殻類(Fishes collected by the R/V Shinkai Maru around Greenland)」 (タラ科:pp.109−122 を分担執筆), 1995年3月, 海洋水産資源開発センター, 東京, 306pp.

(遠藤広光)