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2001年6月
アオマトウダイCyttomimus affinis Weber, 1913 (マトウダイ目マトウダイ科)

 2000年10月28日に高知市の御畳瀬(みませ)魚市場でマトウダイ科の稀種アオマトウダイが1個体採集され,町田・宮崎により報告されました(*).本種は,東南アジアのバンダ海の水深304mで得られた1個体に基づき,Weber により1913年に新種として記載されました.その後,蒲原が御畳瀬魚市場で採集した2個体を1936年に報告しました.この報告がアオマトウダイの世界で2番目の記録です.この2個体はKamohara の1938年の論文に再び登場しています. しかし残念なことに,この2個体は第二次大戦末期の戦災により焼失してしまいました.1939年以降,アオマトウダイの採集記録はまったくありません.そこで,今回のアオマトウダイの採集記録は世界で3番目かつ日本で2番目,標本は世界の魚類研究機関が保有している二つのうちの一つということになります.今回の発見で,過去に御畳瀬魚市場で採集されて以来,ほぼ65年ぶりに本種の生息が確認されたことになります.

 今回の標本は底生性の肉食魚であるミシマオコゼ科のアオミシマの口の中から発見されました.標準体長は39.6mmで,性別は不明です.これまでの記録では標準体長73mmが最大なことから,アオマトウダイは小型種と考えられます.

町田吉彦・宮崎栄子.2000.マトウダイ科の稀種アオマトウダイの本邦2番目の記録.Bull. Mar. Sci. Fish., Kochi Univ., 20: 25-28.

(町田吉彦)


(C) BSKU Laboratory of Marine Biology, Kochi University