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2002年 10月
ニジハタ Cephalopholis urodeta (Forster)(スズキ目ハタ科)

 本種はインド-太平洋域の熱帯から温帯の造礁サンゴ類のある浅海域に生息し,日本では南日本の太平洋沿岸から沖縄にかけて分布します.日本に分布するユカタハタ属12種の中では,赤〜赤褐色の体色と尾鰭にある白色の斜走帯により容易に識別できます.近年ハタ科魚類の分類学的な再検討や系統学的研究がいくつか行われ,それにともない分類体系も変わってきました.2000年に出版された「日本産魚類検索第2版」のハタ科の分類では最近の研究成果を取り入れ,以前はスズキ科に含められていたアラ属のアラ Niphon spinosus や,これまで独立の科として扱われてきたヌノサラシ科(ヌノサラシ,ルリハタ,ヤミスズキやキハッソクなど)を含めています.最近の分子系統学的研究の成果では,ハタ科はカサゴ亜目と近縁ではないかと推測されています.確かに,ハタ科のハタ亜科とフサカサゴ科のメバル亜科は,形態的にもよく似ています.

写真標本データBSKU 59584 (ca. 17.5 cm SL), 2002年8月22日, 高知県沖の島,釣りで採集(採集者:能津英仁).

(遠藤広光)


(C) BSKU Laboratory of Marine Biology, Kochi University